今日から家族

提案 ページ6

「あの…さ、めちゃめちゃ言いにくいんだけど…
おばさん居なくてAこれからどうやって生活すんの？」









「『あっ…考えてなかった』」









私と母は口を揃えて呟いた









私のかなりの楽観主義な所もきっとお母さんに似たんだろうな









そう、私は職場ではまあまあ仕事のできる女だと思われているが家では正真正銘の干物女









自分の部屋の掃除くらいはできるが、料理洗濯は普段お母さんがやってくれていた









特に料理に至っては悲惨なもので…









「A料理とかできないじゃん、
おばさん居なかったら何も食うもんなくね？」









玲於の言ってることが痛いほど理解出来た









だけど私はお母さんをどうしても新しいお父さんの元へ行かせてあげたかった









今まで私に使ってきてくれた時間は
今度はお母さんが自分のために使って欲しかったから









『で、でもっ…それは…頑張るよ、
頑張ってなんとかする、…』









こんな理由で説得できるとは思わなかったが
とりあえず何かを言わなきゃいけないと思い、何とか出来ない奴が言う超絶模範的な回答をしてしまった









「なんとかってあんたね…
やっぱりお母さん、新しい旦那さんからの誘い断ろうかしら……」









やっぱりそうなるよね

私がしっかりしていなかったせいでお母さんの話はまた白紙へ戻ってしまうのだろうか、と考えていた矢先
玲於が口を開いた









「そのことなんだけど…さ、…









A、俺んちくれば？」









「『……えっ？』」









『いや、でも玲於に迷惑かかるだろうし…
そんなの申し訳ないからいいよ…、』









口を開いたと思えばとんでもない提案をする玲於









「俺就職した時から一人暮らし初めて…まあ、
多分Aよりは料理できるし。
迷惑とか考えなくていいから









なによりおばさんも新しい人ん所いってほしいし。」








玲於の言うことは全て正しかった
私よりも料理洗濯もできるだろうししっかりしている

だけど玲於の負担になってしまうことだけは避けたかった









『でも、…』









「でもとか要らない。お前もおばさんに向こう行って欲しいんだろ？なら決まり。









おばさん安心して向こう行ってきていいよ
こいつの面倒は俺が見るから」









こうして私はお母さんが海外へ行く日から玲於の家でお世話になることになった

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