月光と皇帝『この世界で』【野坂悠馬】 (ページ4)

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警戒ページ4

また、あの温かい光が僕を包み込んだ。あの酷い頭痛も和らぎ、むしろ体が軽くなったようだ。そっと目を開けると僕が会えるかと思っていた彼女が心配そうにこちらをみている。

「また…… 君に助けられちゃたのかな?」

「苦しそうにしている人をほっとく訳にはいかないでしょう? それに……とても魘されていたから」

魘されていた………彼女のその言葉に何も言えなかった。まさにその通りだったから。とりあえず「ありがとう」と、お礼だけ言っといた。そして、ずっと気になっていた彼女の名前を聞くことにした。

「君…名前は?」

「……ライモン国のミカドアンナよ？貴方はなんていう名前なの？」

「ノサカ……そう。ノサカユウマって言うんだ。この国の隣にある『王帝月ノ宮国』に住んでる」

「王帝月ノ宮国？ごめんなさい、よく知らないわあまり外に出ないし、情報も入ってこないから……」

申し訳なさそうに肩を落とすアンナさん。叱られた猫みたいで可愛い。そんなことを考えているとアンナさんが「今度行ってみるわね」と、いった。僕は、あまり来てほしくはなかった。何故ならアンナさんが危険な目に合うかもしれないからだ。
　なぜ、自分がここまで彼女に拘るのか……
分からないがとにかく彼女が危険な目に合うのは駄目だ。しかし、せっかく僕の国へ行ってみると言ってくれているのだ。来るななんて言えない。

「あぁ機会があったらぜひ来てくれ」

言ってしまった。でも、アンナさんが僕の国へ来てくれると言うのはうれしい。自然と笑みが溢れると言う曖昧な感情だ。すると、僕はあることに気がついてしまった。アンナさんの服が胸元の空いたのネグリジェの姿だと言うことを。

「アンナさん。目のやり場に困るし、その姿じゃ襲われても文句言えないよ?」

「！？ちがっ……ちょうど寝ようとした時に貴方の声が聞こえたから……あまり見ないでもらえる？」
　
「どうして?」

「は、恥ずかしいから……」

慌てて胸元を隠すアンナさん。つくづく可愛いと思う。もう一度アンナさんに、男は狼になるということを教え今度は「ガオー」と狼のマネをしてみせた。あ、驚いてる。可愛い。
アンナさんに別れを告げて、王帝月ノ宮国へ帰る。自分の部屋に入ろうとした時、セイヤが僕を引き止めた。話を聞くと、それはダンスパーティーの事だった。隣の国の交流のためだそうだ。そして、参加者リストにアンナさんの名前ものっており、また彼女に会えるのが嬉しかった