月光と皇帝『この世界で』【野坂悠馬】 (ページ20)

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S要素？ページ20

勢い良く扉が開かれたとともにヒロ君がルーベルスの石を使い一定時間魔法を使えなくする。相手は魔法を使うことに対しては強いが、近距離で戦うとなるとスキだらけだ。
そして思った通り相手は突然使えなくなった魔法に驚きおどおどしていた。今がチャンス。
そう思いセイヤと一緒に相手に飛びかかる。

「ハァーー！！」

敵の後頭部をアルマニアルストの杖で思いっきり殴る。相手はまさか僕が的に回るとは思ってもなかったのだろう僕の顔を見て「なぜ……ユウマ王子が……」などと不思議そうにしている。
それでも容赦なく、僕達の攻撃の手は緩めない。大体片付き縄などで相手を縛り上げた。

「これでよしねえ……これどこにしまおうか、あまり目立たないところがいいんだけど」

「ノサカ君って……意外とS要素あり？」

「え？S要素？ごめん君が何言いたいのか分からないや。まぁとりあえずあそこに入れておくって事で良いよね」

ポイッと先程自分たちがいた部屋に放り投げる。

「さぁ行こうか」

アルマニアルストの杖を持ち、上の階へと進んだ。ふと、
外の状況が気になり窓から覗いてみる。やはり、戦力が足りないのか……押されている。

「ノサカさん……今の状況は」

「かなり不味いね、早くアストくんたちが合流できるといいんだけど……」

「あの、戦っている中に小さい子が居るんですけど……コレって」

「ん？あの子?あれはアレスシステムに関わっていたり、何らかの理由で親に捨てられた子どもたちだよ大体の子が色々な悩みを抱えている」

僕は目を細めて、彼にアレスがやっていることを教えた。
この国は核の差が激しく、貧しい人間は生きていけない。なので、そう言った者たちはアレスの手下となり、命をかけて戦う道しか与えられない。
それをいい事に上の者たちは、城の中で僕らが戦っている間温温と過ごしてきたんだ。今日、そのつけが回ってきたと考えてほしい。

「とにかく、この国は腐っているんだ。だから変えなければならない……これ以上。誰かに悲しい思いをさせないために……」

「ノサカ君……あと一個聞いていいですか? なぜ、今回の計画にミカド・アンナ譲が関わってしまったのでしょうか……そもそもなぜ、捕まる羽目に？」

「それ……は、」

僕が次の言葉を言いかけたときだった。下の階からアスト君の「うわぁーー」という声が響いて聞こえたのは……慌てて下に降りると、そこには居るはずのない『彼女』の姿があった……