月光と皇帝『この世界で』【野坂悠馬】 (ページ14)

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ライモン国の光ページ14

しばらくしてキドウさんから連絡がきた。準備が整ったようだ。

「よしじゃあ行こうかセイヤあ、ミズカミヤさん。お世話になりました」

「いや、俺も楽しかったからいいんだまた来てくれても構わない」

「そう言っていただけて光栄です」と、軽く礼をしてキドウさんの所へ向かう。
たまには他の家で寝泊まりするのも悪くないなと、思いながら歩いて行った。

「着きましたね、ノサカさん」

「あぁ。早速入らせてもらおうか」

ギィ…と、鈍い音が鳴る扉を開け、中に入る。するとそこにはキドウさんとハイザキ君が立っていた。手にはあの『ムーンカルト』が握られている
どうやら手に入れたようだ。

「これだろうお前が欲しがっていた物は……」

「ありがとうございます……後は、一緒に戦ってくれる戦士が必要なんですけど………」

「……戦士…だと？なら俺いいやつ知ってるけど」

「ん？」

「あ？だから、いいやつ知ってるって……」

この場にいる全員が驚いた。彼から「いいやつ知ってるけど」などと言う言葉を発する時が来るなんて……何か泣けてきそう。ミズカミヤのお母さんじゃないけど……

「いいやつ? 誰ソレ」

「ライモン国の『イナモリ・アスト』光属性のうるさい奴」

「うるさい……まぁいいや取り敢えず、その『アスト君』とやらに会いに行こうか? もしかしたら強力な力を持っていそうだしね……ほら、ライモン国ってすごい力を秘めた人が多いからさ」

「それはどうだか知らねぇが、行くなら早く行こうぜ急がなきゃならないんだろ?」

そういう事で、僕たちはライモン国へ行くことになった。
ライモン国は空気がキレイで気持ちがいい。
あ、そう言えば……６日の夜にアンナさんに伝えなくてはならないことがあったんだった。どうしよう、居るなら今伝えたい。僕の気持ちを。

「セイヤ、僕は先に行くところがあるから……君はハイザキ君たちについて行って」

「…分かりました」

そうセイヤに伝え、僕は彼女が住んでると言っていた城に向かった。

「あの、スミマセン。ここに『ミカド・アンナ』譲はいらっしゃいますでしょうか? 伝えたい事があるのですが……」

「あ、今は出かけておりまして……帰ったら伝えておきましょうか?」

出かけている……なら仕方ない。別に少し知り合った男なんて直ぐに忘れたほうが良いだろう。

「いえ、彼女には僕が来たこと伝えなくて良いです」

「え？は、ハイ」

そう伝え、僕はセイヤの元へ戻った。