月光と皇帝『この世界で』【野坂悠馬】 (ページ2)

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月夜に輝く星の下で　アンナ目線ページ2

ライモン国。眩しい太陽が照りつける平和な国。争いなどはなくいつも笑い声などがきこえている。そんな中、一人ため息をついている少女がいた。

「どうして私だけ……」

ここはライモン国の平地にあるお城。そしてため息をついているのがライモンの貴族令嬢。私、ミカド・アンナ。ライモン国はヒーラーが多いことで有名で、その中でも神風と言った力を持つものがいる。
神風は魔力を使った時の感情をキャッチしたり、範囲の狭い魔法を遠くに飛ばしたりなど、すごい能力なのだ。それが故に嫌なものまでキャチしてしまうことも……
現在、神風は一人しか確認されておらずそれが私なのだ。元々外に出たくなかったため、
楽しそうな声を聞いているだけで十分なのだ。

「それにしても、最近聞こえてくるあの声は何なのかしら? とても苦しそう」

そう。最近聞こえてくるあの苦しそうな声。まるで暗闇から呻くようなその声が気になってしょうがないのだ。そして決まって夜の2時。あの声が聞こえる。

「ん……」

あの声が聞こえた。やはりとても苦しそうに聞こえる。ベットから起き上がり窓を開けると、あの声はハッキリと聞こえた。今回の声はいつもより苦しそう。もう闇に飲まれそうなところまで来ていた。
危険と判断した私はいつの間にか走っていた。そして辿り着いた先には…彼が倒れていたのだ。
急いで彼の元に近寄り回復を施す。苦しそうだった顔は次第に安らいでいき、ゆっくりと光のない瞳を開いた。そしてゆっくりと起き上がる。
その時に黒いフードがパサッと落ち、淡いピンク色の髪の毛が見えた。

「気がついた？まだ安静にしていたほうが………」
「ちょと気を失っただけだよ…でも、助かった。ありがとう」

私は、「良かった」と、安易の息をついた。すると彼がジィっと見つめてくる。あまりに唐突だったのでつい顔を赤らめてしまった……

「…どうしたの?」

「あぁ…ごめん綺麗な方だなって思ったらつい」

彼は冗談で言ったであろうその言葉が私の胸を大きく鳴らした。

「ふざけて…るの？」

私がまた顔を赤くしてそう言うと彼は、「ふざけてないよ」と、微笑んだ。帰り際に彼は、知らない男には注意することだと言って姿を消した。私も城に戻る。幸い城の皆には気づかれずに済んだ。そして、彼のことをもっと知りたくなった