天使との通学電車。４ 〜Yuri.C〜

３０駅目 ページ30

葵と彩香に連れられて、訪れた侑李の病室。





ネームプレートには、愛しい君の名前が書いてある。








この扉の先には、侑李がいるんだと思うと、どんな顔をすればいいのかわからなくて、戸惑ってしまう。





彩香「A？」




「私、侑李になんて言ったらいいのかな……」




葵「今、Aが知念に聞きたいことと、言いたいことを言えばいいんだよ。」









侑李に聞きたいこと────。



あの日、本当にあの子に会いに行ってたのか。






言いたいことは、









────────今でも変わらず好きだと言う事。



でも、それを伝える事は出来ない。


だって私、涼介と付き合ってる。








彩香「もう！そんな思い詰めないの！山田くんに、ちゃんとAの気持ち伝えてから、知念くんに話せばいいでしょ？」





「涼介に対しても、侑李に対しても、そんな都合の良い事、出来ない……」



葵「じゃあ知念が好きなまま山田と付き合っていくの？」









それはっ、





葵「その方が、山田も、知念も、キツイんじゃない？」



「…………。」




葵「Aが今、しなきゃいけないことは、自分の気持ちに正直になる事。そして、それを２人に伝える事。わかった？」




「……うん……っ」








ちゃんと、伝えよう。





そう心に決めて、侑李の病室の扉を開けた。

３１駅目 Ryosuke side→←２９駅目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す