【赤】純情を売りにしています【男主】 (ページ34)

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「最近オレな、景色撮るのにハマってんねん

スマホのカメラで撮るだけやねんけどさー、楽しいんよな」

重「めずらしっ！Aがハマることってあんま無いよな」

「自分でもびっくりしてるわー、大人になった証拠かな」

ダイキといつも通りの会話をしていたとき、事件は起こった。

ぴんぽーん、とインターホンが鳴る。

…宅配？
そう思い壁掛け時計を確認するも、22時を回っている。こんな時刻に宅配便は来ない。

重「誰や…？こんな時間に」

「ええよええよ、ダイキ座っといて。オレ出る」

重「ありがと」

誰やろ、夜遅くに。
不審に思いながらもインターホンもドアスコープも見なかったのが悪かったと思う。

「はーい」

『あっさり出るのね。反省の色も見せないくせに』

昨日の電話の女だった。
オレの顔が歪んでいくのが分かる。
面倒くさい展開になるのが嫌でも分かってしまうのが嫌や…

「…要件は？」

『しらばっくれんじゃないわよ。私はずっとアンタと付き合ってるつもりだったのよ！

この数ヶ月…無駄だったじゃない！』

なんとまぁ、理不尽で横暴な。
オレかてこんなこと言ってまで執着せぇへんわ。

「あの、お言葉ですけど。

オレはあなたとはお付き合いしてないし、あの時は身体の関係だけでも良いってあなたから聞いたから一時的にそうなっただけです。

第一付き合ってほしいとも言ってへんし、付き合ってほしいと言われてない。

これで分かりました？」

『そうやって言い逃げるつもりね！？だいたいアンタは…！』

重「え、と…Aどうした？」

何を言っても聞こえないこの女にイライラしていると、リビングにいたダイキがいつのまにかこっちの方に来ていた。

ダイキにこんな姿見せたくなかったのに。

「…ダイキごめん、ちょっと面倒なことになったから家空けてもええ？

近所迷惑になっちゃうし、近くのファミレスとかで話してくるから」

なによりもダイキにこんな話聞かせたくないというのが大きい。

『ちょっと…！』

何か言いたげな女を静止させる。

重「え…おん…よぉ分からんけど、気をつけや。早めに帰ってくるんやで」

「おおきになぁ、寝ててええからね」

この沸々と湧き上がる苛立ちをとりあえず収めて、一刻でも早く帰ってこなければ。

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