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夢かと思った。
なぜだか夢であれとさえ思った。
Aから発せられた言葉は、あまりに現実味を帯びていなかったから。
重「…今なんて言った？」
「ちょっと、何回も言わせんでや」
重「付き合う………？って、あの付き合う？」
「聞こえてんじゃん」
コイツはすごいことを言っているのに、やけに冷静なAに少しイラつく。
お前自分の言ってることわかってるか？
重「なに？ドッキリこれ？」
「ひっど。人の告白をドッキリだって言うんや、ダイキは」
重「いやだって…嘘やん？」
「ほんま。オレも好きやから付き合お言うてんねん」
そんなん急に言われたって混乱する。
今までオレの気持ちになんて見向きもしなかったのに、どういう風の吹き回しや。
「ダイキが幸せになるにはオレやったらあかんて思っててん。
でもダイキがオレやないとダメ言うから…ちゃう、言ってくれたから、気持ちに気づけた」
重「ほんまに…ほんま？」
「ほんま。ダイキのこと好きや」
コイツの好きと、俺の好きは、意味が違うと思ってたから。
叶うことなんて今後一切ないと思ってたから。
重「俺、そばにおれるだけで良かってんで…」
「オレはそれだけじゃ嫌や」
ほんまに、人が変わったみたいや。
ずっと俺から隠れるようにして、俺の気持ちなんて気づかないふりして、ふわふわにこにこ笑ってたのに。
いま俺の目の前に立ってるお前は、決意の顔をしている。
なあ、俺やからそんな顔してくれてるん…？
重「よくない、グループ内でそんなん」
「今までと変わらんよ、恋人って肩書きが付くだけで」
嬉しいはずなのに、俺からは拒否の言葉しか出てこうへん。
なんでやろ、嬉しくてたまらないのに。
「好きや、言うとるやん」
呆れられたのか、Aは俺を手繰り寄せ、俺よりも細い腕で抱きしめた。
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作者名：ひるた | 作成日時：2023年7月2日 0時
