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重「こうやって大浴場入るの久しぶりかもな」
「俺ら場所選ぶからなぁ」
どうしてもこの仕事をしていると無意識下で人混みを避けてしまう。
そして顔を隠すすべがない浴場は尚更来る機会が他の人より少ない。
せやからちょっと嬉しいんや。
「ダイキここ最近お疲れやったやろ」
重「んーまぁ、それなりになー」
「休めてなかったやん、オレんち来てくれてたし」
重「それは好きで行ってるから休んでるようなもんや」
「それはどうだか」
そんなん気にかけてくれてたなんて、ちょっと意外。
人の心がないとかそういうことを言いたいわけや無いけど、笑
「…少しくらいは、申し訳ないと思ってるから」
重「どういう意味…それ」
脈略のない、独り言のようなことをAはぽつりと吐いた。
「深い意味はないけど、うん…オレやないとあかん理由あるんかなって」
重「…」
なんとなく言いたいことは分かっていたけど、Aの発言で確信に変わった。
あ、そこ突いてくるんや。いつもみたいにかわされると思ってたけど。
「忙しいのにさ、オレのことで頭いっぱいさせても、」
重「好きでこんなんしてるわけやないのに、そばに居らなどうにかなってしまいそうやねん」
「ダイキ、？」
いままで堰き止めていた感情が、少しの亀裂で溢れ出す。
それでも多くは語りたくなかった。
表情には出さないように、心のブレーキをかける。
重「…ほんまに、それだけ。それだけやから。」
オマエの前ではかっこつけさせてほしい。
「ふぅん…そっか」
オマエからの返事を望めないことくらい、分かっとるから。
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作者名：ひるた | 作成日時：2023年7月2日 0時
