【赤】純情を売りにしています【男主】 (ページ14)

今日:48 hit、昨日:15 hit、合計:15,336 hit

・ページ14

「風情があってええですな〜」

重「小さめやけどえらい綺麗な旅館やな」

「秘密の逢瀬にはピッタリの場所やな」

重「逢瀬て」

さっきからこう、耳障りな言葉ばかり選ぶなコイツ。
意識して力入ってまうやろ。

木の香りが漂う玄関に迎い入れられ、Aはそそくさと受付に進む。

「重岡で予約してた者です」

重「なんで俺の名前やねん」

「別にオレが払うなんて言ってへんし」

重「このままやとただの俺持ちの旅行やんけこれ」

うそうそ、と笑いながら流される。
いやいや、俺信じてないからな。あとからやっぱり請求させてとかナシやぞ。

宿泊はしないからお風呂のキーとタオルだけもらい、ごゆっくりどうぞと自由を言い渡される。

「さぁ、なにしよっか」

重「何って決まってるんやなかったん？」

「決めてないよ、なにせダイキの慰安旅行やし」

重「出た、名ばかりの」

「ちゃんとダイキのこと癒やすもーん」

重「癒やすってどうやって？」

マッサージやら肩もみやらアロマやら、典型的な癒やす行為しか思い浮かばんけど。

「それはノープラン」

重「俺ら暇を持て余しに来たってことな」

…まあ、それもコイツとなら悪くないからいいんやけど。