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「俺も、ずっとやりたいことが決まってなかったんやけど、この街に来て、海に関わる仕事がしたいなって思ってん。
海の上とか、中やなくて、陸上から海を支える仕事。
もしなることができたら、この街で仕事したいなって。」
海の仕事はどれも海の上で行われるものだとばかり思っていたけれど、事務作業なども入れるとかなりたくさんの職業がある。
俺は、海と人の安全を守る仕事をしてみたいと、Aと出会って思えた。
「それって、たくさん勉強しないといけないやつだよね？すごいなぁ、俺も海とお仕事したい」
「ほんなら、Aも勉強頑張ればええよ」
「うん！頑張ってみる」
Aと出会えて、この街と触れ合えて、本当に良かったと思う。
「淳太ー？そろそろ出るぞー！」
遠くからおとんの声が聞こえた。
声の方を見ると車に乗っているおとんが浜辺を越えた先に見えた。
迎えに来てくれたようだ。
「淳太のお父さん？」
「おん。あー、もう帰るんかー」
「あっという間すぎて遊び足りないや」
「わかるわー。早かったなあ」
迎えが来ているというのに、片付けをする手を早めることはしなかった。
Aも同じで、むしろ遅くなったようにさえ感じる。
「ほんとは行ってほしくないけど、ずっと遊びたいけど…
バイバイじゃないもんね、また遊ぼうね」
両手をギュッと固く握られる。
「おん、当たり前や。来年も再来年もあそぼや」
呼応するように、俺も強く握り返した。
涙がこぼれてしまいそうで、Aの顔をうまく見れなかった。
バイバイやない、そんなもん分かっとるけど、どうしようもなく悲しくて、張り裂けそうだった。
お互いに言いたいことが山ほどあるのに、口は開けなかった。
言葉を紡ぐたびカウントダウンが進むような気がして、必死に涙をこらえた。
「淳太、またね、会えてよかった、ありがとう」
Aは息を吸ったあとに、握っていた俺の手を離して勢いよく俺の背中を抱いた。
「おん、俺もありがとう、大好きやでA」
「俺も大好き、淳太」
耐えきれなくなってそれを皮切りに両目から涙が決壊したように流れていく。
泣きながら笑っている。
笑いながら泣いている。
泣くつもりやなかった。最後は笑って終わりたかったのに。
「…またね！」
「…またな！」
そうして、俺の夏は終わった。
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ひるた(プロフ) - 暑苦しくて愛おしい夏が始まりますね〜🌻 (6月18日 11時) (
レス) id: d618c40589 (このIDを非表示/違反報告)
にこち(プロフ) - 今年も夏始まりますね🔅 (6月18日 2時) (レス) @page45 id: 7ce575ffce (このIDを非表示/違反報告)
ひるた(プロフ) - にこちさん» にこちさん…！毎度ありがとうございます😭心に残る作品になりますよう、善処いたします！ (2023年3月20日 0時) (レス) @page13 id: d618c40589 (このIDを非表示/違反報告)
にこち(プロフ) - 新作おめでとうございます！！どんなお話になるのか、作品を見かけた時からワクワクしてます！ (2023年3月19日 21時) (レス) id: 7ce575ffce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひるた | 作成日時：2023年3月12日 22時
