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心臓に大打撃を喰らいながらも、祭りを一通り楽しんだ。
屋台で買ったものをはんぶんこして食べたり、射的をしたりヨーヨーすくいをしたり。



少女漫画でよくあるような、花火が打ち上げられるロマンチックなハプニングはなかったが、手持ち花火を持ち寄って遊んでいた。



「花火って初めてかもしれない」



「ほんまにそれ言うてる?」



「施設では毎年やってたみたいだけど、俺はずっと海で遊んでたから」



「海好きやなぁ」



「まあね。



クジラブカ様も花火は見たことないかもよ?」



「確かにな。俺らが見せてあげようや」



「いいね、見てくれるかな」



と言いつつも、俺らが今持っているのは線香花火だった。
ススキ花火とかスパーク花火なら海に向かって大きく手を振れるけど、どちらかというと線香花火は微かな動きも許されないような気持ちになる。



「線香花火ってさ、落ちるまでに五回願い事を言えたら叶うんやって」



「なら願い事は短いほうがいいかな?」



「そうやな〜」



付け焼き刃の嘘を適当に言っても、Aは純粋だから信じてしまう。
ほぼ流れ星と同じ言い伝えなのに、気づかないのは逆に心配になる。



「Aならなんてお願いするん?」



「んー、また淳太と会えますように!かな」



「落ちる前に言えるかなーそれ」



「淳太!だけのほうがいい?」



「伝わらんやろ」



照れ隠しでつっこんでしまった。
まさかそんなことをAの口から聞けるとは思っていなかった。
また会いたいと思ってくれているということだけで涙が溢れそうだった。



「お願いせんでも、また俺がAに会いに来るよ」



「ほんとに?」



「ほんまほんま。会われへんくなるわけやないもん」



「じゃあ約束ね、指切りげんまん」



「はいはい」



彼といると、数年前に戻ったような感覚になる。
世の中の黒さも知らない、ただ笑顔でいられた日々を思い出す。



Aの無邪気な笑顔が、その懐かしさを演出している。



「俺、夏休み終わったら学校行ってみようと思う」



「…そっか。



最初は辛いかもしれへんから、ゆっくりでええんやで」



「うん。ありがとう」



ただ、出会った頃とは違う瞳をしていた。
決意が固まった、ゆるがない思いをその深くに感じる。

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ひるた(プロフ) - 暑苦しくて愛おしい夏が始まりますね〜🌻 (6月18日 11時) (レス) id: d618c40589 (このIDを非表示/違反報告)
にこち(プロフ) - 今年も夏始まりますね🔅 (6月18日 2時) (レス) @page45 id: 7ce575ffce (このIDを非表示/違反報告)
ひるた(プロフ) - にこちさん» にこちさん…!毎度ありがとうございます😭心に残る作品になりますよう、善処いたします! (2023年3月20日 0時) (レス) @page13 id: d618c40589 (このIDを非表示/違反報告)
にこち(プロフ) - 新作おめでとうございます!!どんなお話になるのか、作品を見かけた時からワクワクしてます! (2023年3月19日 21時) (レス) id: 7ce575ffce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひるた | 作成日時:2023年3月12日 22時

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