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Aからすれば、あまりに突飛だったと思う。



それでも、台本なんて書いている余裕はなかったから、思いついた言葉を紡いでいった。



「ごめん…淳太の言いたいことがわからない」



「両親は今も健在してらっしゃるん?」



「お母さんとお父さん?…もちろん、いるけど」



不思議そうに答える中に、狼狽えているような声の震えがあった。



「Aのお家、気になって探したんよ、俺。



そしたらこどもハウスってとこに入っていくの見えてん」



Aはやがて沈黙した。
言い返す手札をなくしたのだろう、俺の目を見ることもなく地面に視線を落としている。



何も考えず言葉を発したら、ここまで言ってしまった。
真相をつくところまでは考えていなかったのに。



「…聞いたで。ご両親、もうおらへんのやろ?」



勢いで行ってしまえばいい、と思った。
これ以上来てしまったら引き返すことはできない。



「…淳太は、どう思った?」



「え?」



「淳太はそれ聞いて、どう思った?」



まさかの返答だった。
沈黙を守ると思っていた。



その声には少し怒りも込もっていたかもしれない。
いや、たぶん、色んな感情がぐちゃぐちゃなのだろう。



「俺は、Aとこれからも仲良くしていきたいと思ったよ。



けど、おとんもおかんもおる俺がええんかな、って思った。」



率直に、一番強く残っていた気持ちを吐いた。



「…お父さんもお母さんも、居ないってずっと分かってたよ。



けど、受け止めるのが苦しくて、まだ居てくれる、って、仕事が忙しくて会えないだけだよね、って暗示かけてた。



何回も海に入って死のうと思った。
またお父さんとお母さんに会えると思ったから。



淳太に会ったあの日も、死のうと思ってたの。
海と一つになろうと思ってた。



でも淳太を見たとき、声かけなきゃ、って、友達にならなきゃ、って思ったの。」



あの日、一人で楽しそうに遊んでいた彼は、今にも自らを殺そうとしていたのか。



走馬灯のように、Aと出会う前や、Aと遊んだことを思い出す。



そんな素振りはなかった。
哀しい目をするときはあったけれど、死に悩んでいるようには、とても。



「…気づいてあげられなくて、ごめん」



「ううん、むしろ、気づいてくれてありがとう」



無意識に俺たちは泣きながら抱き合っていた。

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ひるた(プロフ) - 暑苦しくて愛おしい夏が始まりますね〜🌻 (6月18日 11時) (レス) id: d618c40589 (このIDを非表示/違反報告)
にこち(プロフ) - 今年も夏始まりますね🔅 (6月18日 2時) (レス) @page45 id: 7ce575ffce (このIDを非表示/違反報告)
ひるた(プロフ) - にこちさん» にこちさん…!毎度ありがとうございます😭心に残る作品になりますよう、善処いたします! (2023年3月20日 0時) (レス) @page13 id: d618c40589 (このIDを非表示/違反報告)
にこち(プロフ) - 新作おめでとうございます!!どんなお話になるのか、作品を見かけた時からワクワクしてます! (2023年3月19日 21時) (レス) id: 7ce575ffce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひるた | 作成日時:2023年3月12日 22時

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