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ページ15

「照史くん…?」



「別になぁ、Aをさぁ、外側の人間やなんて思うたことなんて一つもないねんかぁ、



俺は、ずっと、Aと喋ったときから…ずっとずっと、俺という人間に必要なやつやって思ってるねん…」



「照史くん、」



「変なこと言うなやぁ。なに自分だけのけ者やと思ってんねん…そんなわけないやろ…?



お前は大事な友達なんやで…?」



「なんで照史くんが泣いてるのよ〜…」



本当はAが泣きたいはずなのに、抱きしめて慰めてやらなあかん俺が泣いてしまっている。



「気づかんくてごめんなぁ…」



「照史くんのことを悪いなんて思ったことないよ、泣かないで」



抱きしめられているはずのAに背中を撫でられる。
贖罪の気持ちが伝わってしまったのだろうか、逆に慰められてしまう。



出会ってから数年、一番近くで彼を眺めているにも関わらず、そんな思いをさせていたなんて。



俺、ずっとこいつのこと理解していこうって思ってたのに。
やっぱ、思うだけやったらあかんのかなぁ。



「いいの、照史くん。



照史くんにはずっと支えてもらってるって分かってたから、辛いことなんて全然なかったよ。



照史くんに会えてよかったって、ずーっと思ってる。



僕にとって本当に大事なひとだよ」



眉を下げ、困った表情を作る。
その姿さえも、今は弱々しく見えた。



「こんな性格だけど、いいことだってたくさんあったんだよ。



色々経験してきたから、説得力のある歌詞を書けるし、照史くんのような優しい人にも出会えたし。



確かに生きづらいし、変に気を遣うし、何事も完璧にこなしたいと思うけど、それも僕なんだよ。



僕っていう個性だって、受け止められてるから。



だからいいの。照史くんのおかげで、今の僕があるんだから。」



知らない間に、彼がこんなにも成長していただなんて。



君を深く知る前に、もっと君は深く深く潜っていった。



ああ、やっぱ、俺って普遍的な人間なんや。普通の幸せを、神様から賜るだけでええ人間なんやな。



Aは人間性を磨いているというのに、俺は傍でそれを眺めることしかできひん。



「俺、ずっとAと一緒におりたい」



「なにそれ、僕にプロポーズしてるん?」



「プロポーズでもなんでもええわ、もう」



でも、眺めるだけでもええなら。



ずっとお前の背中を抱きしめていたい。

・→←例えば、人が神に恋をするように。



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作者名:ひるた | 作成日時:2023年1月28日 1時

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