ハートの指名手配犯【アクダマドライブ】

#2 ページ25

「そこで、3つに分かれて侵入する。
上層階のボタンを、詐欺師、殺人鬼、ハッカーで。
地下にあるボタンを、医者、喧嘩屋、チンピラ、怪盗で、同時に押してもらいたい。運び屋とは別行動だ」

「怪盗離れ離れになっちゃった〜…まあいいや、詐欺師と一緒だもん！」

「うわっ、ちょっと！！」

『殺人鬼さんをよろしくお願いいたしますね』

「ち、ちょっと怪盗さん！？」

詐欺師さんにぎゅうぎゅうと抱きつく殺人鬼さん。詐欺師さんには申し訳ないけど、殺人鬼さん預かってくれてちょっとホッとしたかも。マジで殺人鬼さん(この人)苦手。

「…あまりにも格差のあるチーム分けじゃない？」

「ホントだぜ、そんな棒切れみたいな連中で大丈夫か？」

「死なねえ事を祈ってるぜ〜…」

チーム分けに不満を持ったような医者さんに、喧嘩屋さんとチンピラさんも同意する。

「僕の考える公正な振り分けだ、問題ない。
…ホームに入っても油断はできない。新幹線の搬入口には、登録したもの以外を蒸発させる光子力シールドが搭載されている」

「金庫は俺のバイクで運び出す。侵入方法にアタリはつけているんだろうな？」

「もちろんさ。それに関しては、吸収ランプから運んで来たものを使う。新幹線の侵入に関しては、荷物の登録データを、ハッカーに書き換えてもらい、その中へ入ってもらう。そしてそのまま荷物として侵入し、光子力シールドを内部からオフにしてもらう」

「なるほど…体の小さな僕にしかできない仕事って訳ですね。面白い…」

「シールドを解除したら、全員で中に入りたい。内部のセキュリティはブラックボックス。何が待っているか分からないからね」

…ん？
…じゃあ、それならもっと良い方法がある。

『あの、黒猫さん。少しご提案よろしいでしょうか』

「どうしたんだい、怪盗」

小さく手を挙げる私に振り返る黒猫さん。

『折角考えていただいた上で申し訳ないのですが、…私も運び屋さんと一緒に別行動にして頂けないでしょうか？』

「…どうして？」

『私なら、運び屋さんがバイクを走らせている間に、ちょうど良いタイミングで光子力シールドをオフにする時の合図が打てます。』

「へえ？その合図とは？」

『私は音響弾を持っています。これなら遠くでも音は聞こえますし、私がいなくとも、その3人で行動できるでしょう？』

「…分かった、編成の変更を許可しよう」

『ありがとうございます』

ひとまずこれで最善は尽くせたかな。

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