ハートの指名手配犯【アクダマドライブ】

#13 ページ22

『が、！？』

蹴られたのだ、彼女に食らわせたのと同じくらいの強さの蹴りを。

何とか受け身をとって、男性と向き合う。男性は容赦なく急所を狙ってくる。隙がないせいで、中々こちらから攻撃ができない。防御だって苦しいのに…！

「いつまでそうやって護っているつもりだ？」

そっちから攻めては来ないのか、と手招きをする。安い挑発だ、乗るわけもない、普段の私ならば。

だけど私は今、この状況を少しでも逆転させたいと思っていた。だからなのか…挑発に乗ってしまった。床を蹴り、男性に向かって蹴りを繰り出す。

でも、その瞬間。

「…大した蹴りだが…そればかりに執着しすぎだ」

『が、ッは…！？』

男性にみぞおちを突かれ、天井に身体をうちつけ、床に落ち再度身体をうちつけた。咳が止まらない、苦しい、意識が、色が。

喧嘩屋さんも運び屋さんも満身創痍な中、ガラスが割れる音がする。

入ってきたのは、運び屋さんのバイク。

「お前らに届けものだ。受け取れ」

運び屋さんがそう告げたあと、バイクがビリビリと電気を帯び…男性に向かってレーザーを発砲した。

私は状況を悟って、ワイヤーを伸ばし、そこから何とか飛び立つ。

…爆発。スイートルームごと上の階は、地面に落ちた。

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