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「名前?」
「あるだろ?名前ぐらい。
口調からして君ずっとここにいるっぽいし。会話相手ぐらいにはしてあげるから、教えて、名前」
「嫌に上から目線だな」
幽霊って、本当にいたんだ。と、少しワクワクしてきてしまう。
暇つぶしぐらいにはなってくれるかもしれない。
「廉」
「廉ね?じゃあ、真人」
「は?」
「は?じゃなくて。俺は真人。好きに呼んでよ」
「お、う?」
じゃあ真人?でいいの?と戸惑いつつ俺の名を呼んだ廉に、俺はなぜだか酷く満足してしまった。
まあ、魂に触れられても、既に死んでいる訳だから死ぬことはない、そういう事だろうと自己完結させて、俺はまた本に目を落とした。
幽霊を見るだけでなく、会話までできるなんて、この上なく貴重な体験に違いない。夏油や漏瑚達に自慢すれば驚くかな。
少し誇らしげに思いながら俺は本の頁を捲った。
・
会話相手、ってだけだと思っていた。
俺だって初めて見つけてもらえて、喋りかけて貰えて、嬉しかったんだ。だから、なんだかよく分からない人間離れした髪色に継ぎ接ぎ顔の嫌に容姿の整った男をした会話相手だって、俺はまあまあ(?)喜んで引き受けた。
でも、こうなると分かっていれば、見えないフリして、無視してた。
「何、そうでもしねぇと読めねぇの?」
「うん、悪い?」
「悪いところしかねぇわダァホ!!!!」
アホなのか、アホなんだな此奴!!
いや、アホ以外の何物でもない。
「読みにくいだろその体勢…」
「いや、そんな事ないよ?」
こんなせっまいハンモックの中に男2人(?)ぎゅうぎゅうに詰まってんだぞ、久しぶりに息苦しいわ。
なんとまあ俺を抱き枕みたいに扱いやがって、片手で俺の腰に手ぇ回して片手でページめくるとか器用かよ。
「はい、抱き枕が喋んないの。後動かないでよ、読みづらいから」
結局読みづらいんじゃねぇか。やっぱり抱き枕扱いだし。
「俺最初お前俺になんて言ってここに居させたか分かってんの?」
「え、俺なんか言ったっけ?」
「最初は単なる会話相手だったぞ、この嘘つき野郎」
真人の腕の中で見上げてそう毒吐けば、当の本人は意地の悪い笑みを浮かべ、
「だって俺は呪いだからね。信じる廉が悪いよ」
……いや、此奴、最初、そんな事、言って、なかった。
まぁ、そんなこんなで、今日も呪霊と幽霊の似たもの同士ライフが始まる。
「あらすじ的な感じで締めんなや!!!!!!!!!!」
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狼煙(プロフ) - いつも作品見てます!体調に気をつけて受験頑張ってください!応援してます! (2021年9月25日 0時) (レス) @page5 id: c6c0c2c12c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:低気圧 | 作成日時:2021年9月25日 0時