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PM8:07 渋谷駅前
『おっそい…』
待ち合わせ時間はあっちが指定してきた時刻より8分経っている。
もう着いているのではないか、もしかしたら一向に来なくて困っている私を陰ながら笑っているのではないか、と辺りを見回すが、悟らしき人物は見当たらない。
生憎、悟を見つけるのは得意だ。
五条悟を探す選手権なんてものがあれば優勝できる気がする。
だってアイツ、目立つし無駄に背が高いからすぐ見つけられる。
…それにしても、来ない。
悟だけどまぁ一応、と5分前に来た私が馬鹿だった。
「あ！お姉様〜！！」
呑気だがよく通る声が、人混みの中から飛び出した。
長い腕を嬉しそうに振って、こちらに駆け寄ってくる白髪。今日は流石に目隠しではなくサングラスのようだ。
目元が隠れていても分かるその容姿の端正さに、傍で退屈そうにスマホをいじっていた、金髪のパーマをかけた女性が、「え、超イケメン…」と呟いた。他にも辺りの女性が色めく。
「いやー、お待たせしました、お姉様」
『…ホントよ。何分待ったと思ってるの』
「別にそんな責めるほどの遅刻じゃないでしょ？ほら、ワッフル買ってきましたから一緒に食べましょうよ」
『…』
コイツ、…待ち合わせだってのに呑気にワッフルなんて買ってきやがって。なんて図々しい弟だ。
「ホラ、どーぞ。お姉様のお好きな抹茶味アイスですよ」
『…』
ニコッと微笑んで私の好物の抹茶アイスののったワッフルを差し出す悟。クソ、顔が良い。
渋々受け取ると、悟は嬉しそうに笑い、「じゃあとりあえず行きましょうか」と私の手を引いた。
手を、引いた、？
「今日ぐらいエスコートさせてくださいよ、Aお姉様」
驚いて立ち止まる私に、悟はサングラスを外し、その六眼で私を見つめて笑いかけた。
視線が痛い。ココ、何処だと思ってるの？都会中の都会、渋谷の駅前よ？馬鹿なのコイツ。
『…ッあ〜〜、分かったから、好きにしていいから。こんな所でそういうの、やめて！』
「おっと、これは失礼しました」
お茶目に僕のバカーと己の頭を小突いてみせる悟に殺意が湧いてしまった。
…コイツ、絶対確信犯だ。
･
終わり
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RITZ(プロフ) - え、終わった…？ (2022年1月10日 19時) (
レス) @page6 id: 825d470023 (このIDを非表示/違反報告)
舞 - 続きが読みたい！です！ (2021年10月31日 0時) (レス) id: e80a4daaf8 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 更新待ってます (2021年2月26日 23時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
。 - とても面白いです!腹の底ではいったい何を考えてるのか…！！！五常悟のお姉さんの物語、さらに敬語の五常悟が見れるなんて！！！とても新鮮で読んでいてとても楽しかったです！ (2021年2月19日 23時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
ノエル(プロフ) - とても面白いです。更新頑張ってください。 (2021年2月19日 17時) (レス) id: f7611d8971 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：グミ | 作成日時：2021年2月15日 19時
