白依存症【五条悟】

#31 ページ32

悲痛な自分の声が聞こえて目を覚ました。なんでか全力疾走したように苦しくて、息が切れ、汗が止まらない。

視界に入るのはいつもの薄暗い部屋。

ああ、さっきのは夢なんだと安心すると共に、どっと疲れと虚無感が身体を襲った。

悟はいない、もう仕事に出ているようだ。

最近よく見るんだ、悟が私から離れていく夢を。

汗だくになって飛び起きると襲う、なんとも言えない現実感。

…最後、なんで悟は私のこと苗字で呼んだんだろう。

最近あまり悟に構われていない気がするんだ、もしかしたらあれは現実に成りうるかもしれない。

…いや、気負いすぎは良くない。

気を紛らわすようにスマホの画面を開いて、流れるように某青い鳥のSNSアプリを開く。

通知が届いていたので見てみると、おすすめのツイートが届いていただけだった。
今日もまたリスカした、そうしたら浮気ばっかりしてた彼氏が本気で心配してくれて、ちゃんと向き合って話し合うことになった、なんて内容だった。

それに対してのいいねやリツイートが万単位で、多くの人が共感しているようだ。私もそれが一連の作業であるかのようにハートボタンを押し、アプリを閉じた。

リスカ、ねぇ。

今までの私だったら、ただの自傷行為だ、と馬鹿にしていたかもしれないが、…今は違う。

心に鬱が溜まって、吐き出してしまいたかった。

別に自傷行為をして気を紛らわしたりはしたくないが、…ずっとこんな夢を見ていては精神が可笑しくなりそうで。夢だけじゃない、現実でも悟は近頃私に興味がなさげだ。

熱は熱いほど、冷めるのもはやい。そういう事だろうか。

…もし仮に、私が自分を傷つければ、奴は私のことを心配してくれるのだろうか？

心配してくれなくてもいい、また私を見てくれるだろうか。


まだ私を愛してくれるだろうか。




＿＿＿＿＿＿＿歪な愛でも構わないから。

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