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なんか部屋が暑い。身体が熱いのかもしれないが。
毒でも盛られていたか。食べたことに後悔しながら私はベッドに横になることにした。
暑い、熱い。昨日から着たままのTシャツをパタパタと扇ぐ。
「その様子だと効いたみたいだね」
ガチャと扉が開いたかと思えば嬉しそうな伊沢さん。
やはり何かあのご飯に仕組んであったのか。
「Aちゃん」
伊沢さんはベッドの縁に座ると、私の頭を撫でた。
それが妙に心地よくて、あの人を思い出してしまう。
「愛してる」
耳元で囁かれたその言葉にビクッとなる。
好意の言葉に心が反応したのではない。耳にかかった息と声に身体が反応してしまったのだ。
なんだろう、このゾワゾワする感覚。
「可愛い」
伊沢さんは私の輪郭をなぞると、キスをした。
頬やおでこではなく、唇に。
拒否しようと突き飛ばそうとするが、後頭部をガッツリ掴まれて男の人の力に適うはずもなく。
拒めず、かと言って受け入れたくもないそれ。
でも心が幾ら嫌と言っても身体は求めてしまう。
何で。嫌だ。助けて。
目に涙が溜まる私に気づいたのか、伊沢さんは唇を離した。
「媚 薬思ったよりも効いてるね」
口角を上げてそう言われる。
媚 薬…。そうか、ご飯にはそんなものが入っていたのか。
それを飲まされたことよりも、私がこうなってしまった原因がわかってホッとする。
伊沢さんのキスを受け入れてしまったなんて、帰ってから彼に顔向けできない。
「ねぇ誰のこと考えてるの」
急にメンヘラみたいなことを言われる。
そこまで聞いてきているのだ、分かっているはずなのに何を言わせようとしているのだろう。
「まあいいや」
ボソッと呟くと、上半身だけ起き上がらせた状態の私を組み敷いた。
視界には白い天井と伊沢さん。
これからされるであろうことに怖くなり、必死に抵抗するが、そんなこと虚しく。腕をガッチリと押さえられてしまっている為、彼から逃げられない。
でも媚 薬を飲んだ身体の私は、目の前のオスを欲しがっている。
様々なことが相まって、私の目から涙が流れた。
「Aちゃん、愛してるよ」
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作者名:ヱ崎 | 作成日時:2022年11月1日 16時