レゾンデートル -ymmt- ページ5
9kのymmtさんではない、ifのお話。
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良い言い方をすれば癒しの存在、悪い言い方をすればヒモ、と私は同棲している。
理由は簡単。私は全肯定してくれるお兄さんが欲しかった、彼は養ってくれる人が欲しかった。ただそれだけ。
所謂ところ、都合の良い関係ってやつだ。
「ただいま」
「おかえり、Aちゃん」
仕事から家に帰るなり、祥彰くんは笑顔で迎えてくれた。
私の帰宅の5分前から私を玄関で待つのが日課だと、彼は言っていた。
なぜそんなことができるのかというと、私のスマホの位置情報を彼に共有しているから。それだけ。
「Aちゃん、はい」
腕を広げて胸を貸してくれる、疲れきった私を癒してくれる、唯一の存在。
“推し”というものから元気を貰う人種も居るようだが、私にあれは理解ができない。推しは一方通行に過ぎないから。
でも私と彼は対面通行だ。推しなんかと比にならないくらい元気が出る。
「今日もお疲れ様」
胸に飛び込むなり、頭を撫でてそう言う祥彰くん。
これだけでもう疲れていたことなんて忘れてしまう。
二人分の給料を稼がないといけない私は結構普段無理をしている。
だったら彼を手放せばいいと思うかもしれない。でも私は、彼がいなくなったら多分生きていけない。
どこかの路地裏とかで野垂れ死ぬだろう。
「お腹空いてない？ご飯作るね」
未だ廊下でガソリンをチャージしていた私は、祥彰くんから離れて夕飯の支度に取り掛かる。
祥彰くんは壊滅的に料理ができない。それ以外の家事は割とやってくれるのだが、料理だけは本当にできないので、そこだけは私の役目だ。
冷蔵庫にあるものを適当に取り出し、適当にレシピを検索し、適当に作った、超絶適当ご飯。
どれだけ簡単なものでも、美味しいと食べてくれる彼なので、私もついつい甘えてしまう。
…次のお休みはお菓子でも作ろうか。
二人でご飯を食べながらコミュニケーションを取る時間が私は大好きだ。
彼からしたらどうでもいいであろう、私の話をうんうんと聞いてくれる。
私は自己肯定感がかなり低いので、基本全肯定なのは有難い。
食事を終え、お風呂にでも入ろうと浴室へ向かう。
お皿洗いは彼がやってくれるので、私はこれから優雅なバスタイムだ。
大好きな入浴剤をお風呂に落とし、シュワシュワと溶けていく様子を眺める。
私も死ぬ時はこんな感じがいいなぁ、なんて思いながら。
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作者名：ヱ崎 | 作成日時：2022年11月1日 16時
