休息【QK】 (ページ10)

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「うっ、うぅ…、おぇっ…」

なんで、僕がこんな目に会わないといけないのか。
苦しくて、辛くて、しんどくて、死んでしまいたいくらいだ。
しかし、背中をさする福良の手があまりにも心地よくて、僕はだんだんと落ち着きを取り戻していった。

「福良ありがとう、もう大丈夫…」

「うん。河村、1回水飲もうか」

僕は福良に連れられて、部屋の隅にある椅子に座った。
きっと気を使って、ベッドには座らせなかったのだろう。
そういうところが本当に有難い。
福良から受け取ったペットボトルを開け、ゆっくりと口に運んだ。
泣いたことで体外に出た水分が、取り戻される感覚。
幸か不幸か生きていると実感させられる。
僕は生きていてよかったのだろうか。
いっそのこと、犯人に殺されていた方が良かったのではないか。
負の感情がドクドクと湧き上がる。

「河村、落ち着いて。深呼吸しようか」

「すー、はー。すー、はー」

いつの間にか過呼吸になっていたらしい。
福良に何度と助けられているが、それと同時に迷惑もかけている。
その状況がまた僕を落ち込ませる。
福良は、｢迷惑なんかじゃないよ｣って言ってくれるんだろうけど。

「俺、服買ってこようと思うけど。ここで一人で大丈夫？」

僕のボタンの取れたシャツを指して、福良はそう言う。
出来ることならここから早く出たいが、ここに一人残されるのは嫌だ。
二つを天秤にかけたとき、出た答えは。

「…一人にしないで」

「分かった」

福良は僕の服を回収してズボンとカーディガンを渡してくれた。
そして福良は自分の服を脱ぎ始めた。
細身だが、僕と違って男らしい身体付きの彼。
何故か直視するのが恥ずかしくて、福良から目を逸らした。

「河村、これ着て」

そんな僕に気がついていないのか、福良は何事も無い顔で僕にTシャツを渡した。
どうやらニットの下に着ていたようだ。
僕は福良の体温で温かいそれにゆっくりと袖を通した。
少しぶかぶかなのが恥ずかしいが、服から香る良い匂いが心が落ち着かせる。

「河村？何してるの？」

袖を鼻に当てて匂いを嗅いでいた僕を見て、福良は笑いながら言う。
僕は恥ずかしくなって、手で顔を覆った。

「良かった、落ち着いてくれて」

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