休息【QK】 (ページ8)

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ヤり逃げされた。
本当にやるだけやって彼奴は帰って行った。
そのため、奴の体液で僕は今ドロドロである。
うなじを噛まれなくて済んだのは不幸中の幸いであろう。

とりあえず体を綺麗にするためにシャワールームへと向かった。
まだ体には犯されたときの感覚が残っている。
気持ち悪い。
この記憶ごと洗い流すべく、思い切り水を浴びた。

いくら流しても感覚も記憶も消えることはなかった。
知らない男に犯されたという事実が一生付き纏うのだろう。

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シャワーを浴び終わってから気がつく。
僕の服は彼奴に引きちぎられたため、着るものがないのだ。
外に出ることが出来ない僕はどうするべきなのかと、頭を抱えた。

それより、もう今日は出社できないということを、伊沢に伝えなければならない。
電話をするのは嫌だったので、簡潔に済まそうとLINEを開いた。
するとそこには福良からの着信があった。
きっと僕がいつまで経っても会社に来ないからだろう。

僕はヒートのせいで出社できそうにないという旨を文章にし、送った。
メンバーは僕がΩだということを知っている。
それでも受け入れてくれるのは本当に有難いことだが、頼れるかと言ったらまた話は変わってくる。
迷惑は極力かけたくない。
そんな思いがあり、その時一緒に服を持ってきてと頼むことはできなかった。

上裸で帰る訳にもいかないが、頼れるあてもない。
またどうしようかと悩んでいると、何故か福良から電話がかかってきた。
もし大切な要件だったらと思うと、嫌という個人的な感情で出ない訳にはいかない。
僕は恐る恐る緑のボタンをタップした。

「あ、もしもし河村？」

「何？」

「河村の体調が心配でさ…」

福良は心底心配そうな声でそう言った。
悪意ではないであろうその心配は、迷惑ではなかったが、今は僕を困らせるだけだった。
不本意ではあるが、ヒートを抑えるのに一番効くことをしたのだから、体調は全く悪くなかった。
ただ、気分は最悪だが。

「それなら大丈夫だよ、ありがとう」

「そう、それならいいんだけどさ…」

大丈夫だと平然と言った心算だった。
しかし福良にはそれは通用しなかった。
二言目にこんなことを言われたら、そう思うしかないだろう。

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