夜に駆ける 4 A.M × N.K 短編「平行線」 (ページ7)

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首元にカバーをかけられ、メイクが始まる

雅紀にこうやってメイクされるのって半年ぶりかもしれない

細い指がオレの肌を滑っていく

その感触に安心して、

自分が変わる過程を見ないために意図的に閉じていた目が

段々と自然に閉じていった

「ん・・・・・あ、ごめん。寝てた。」

雅紀が指がオレの頭に移動したところで目が覚めた

「ガッツリ寝てたね(笑)やっぱり緊張して昨日眠れなかったの？」

「うん、そうかも(笑)」

昨日はぐっすり寝られた。ただ、顔に触れる雅紀の指が心地よかっただけ。

「ウィッグつけるからちょっと動くかもしれないけど、寝てて大丈夫だからね。」

寝ぼけ眼のせいで自分の姿はまだ捉えきれてない

安心してオレはまた眠った。

「カズ、起きて・・・・・・・。」

「んー・・・・・・・」

「もう、

　準備が整いましたよ、お姫様。」

「ん・・・・・・・はっ！」

耳元で囁く鼻にかかった声に意識が覚醒する

つい目をこすってしまいそうになったけど、

雅紀にヘアメイクを施してもらったことを思い出して手を止め鏡を見た

「あ・・・・・・・。」

初めてヘアメイクをしてもらったあの日を思い出す

でも、完成度はあの時よりもずーっと良くて、

この世の誰よりも素敵だって思えるくらいのボクがいた。