夜に駆ける 3 A.M × N.K (ページ21)

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なんとなくヘアメイクアップアーティストになろうとは決めていた

父親の友人でこの職に就いている人がいて、よく仕事をしている姿を見ていたからだ。

でも、いまいちもう1歩踏み出すきっかけがなかった

このまま趣味の1つで終わらせてもいいかなー・・・・という感じ

そんな俺に絶好の機会が訪れた

髙3の文化祭、女装コンテストを行うことになり

俺のクラスから友人の二宮和也。カズが選出されかけていた。

カズは俺に「助けて」の合図を送っていたが、

俺はみんなの意見に乗っかり、カズのヘアメイク役を買って出た。

人のメイクを本格的に、そして人前で見せるのはこれが初めてだった

とりあえず全力で、みんなが、カズが満足をいくものに仕上げないと...

そう意気込んで完成したヘアメイク

カズは自分じゃないみたいと驚いて、クラスやコンテストを見ていたみんなは歓喜の声を上げた

そしてなんとカズがコンテスト優勝

「カズお疲れ様～！」

「雅紀、ありがとう。」

コンテスト終わり、カズは笑いながら俺に感謝した。

ゆっくり感情をこめて言われた訳ではない、

「鉛筆貸してくれてありがとう～」ぐらいのノリだっただろう

それでも、その言葉が俺の背中を押してくれた。

俺はメイクをされる人・それを見る人、みんなを笑顔にする人になろうと決めた

あと、「ありがとう」と言ったカズの笑顔が

とっても可愛かったこともよく覚えている