夜に駆ける A.M × N.K (ページ42)

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「・・・・好きだなぁ・・・・・・。」

「え？何が好きって？」

「え？あ。違う！これは・・・・・！雅紀のメイクが上手くて好きってこと！！！」

ついうっかり口から言葉が漏れてしまった

慌てて訂正するけど、雅紀はずっと優しい目でボクを見つめている

「俺も好きだよ。可愛いカズのこと。」

「え・・・・・・・。」

「あ、そうだ。早いけど誕生日プレゼント。これ。」

雅紀がくれたのは向日葵の絵が描いてあるアイシャドウパレット

「カズは黄色が似合うと思うんだよね。ちょっと目元に入れるだけでうんと華やかになるから
　会社行く時も使ってみて。」

「ありがとう・・・・・・。」

「俺はもう帰ろうかな。あ、服このまま借りるね！傘も借りるね！
　後で返すからー！！！！！」

そう言って荷物をまとめてそそくさと家を出ていった

傘、その1本しかないのに。

～～～～～～～

ウィッグを外し、メイクを落とす

-俺も好きだよ。可愛いカズのこと。-

雅紀が言ったこの言葉に深い意味が込められてないのは分かってる

どうせ、いろんな人に言ってるから。

お姫様みたいだってそう。メイクをした女の人全員に言ってると思う。

もしかしたら男の人にだって言ってるかも。

所詮雅紀は魔法使い

ボクと結ばれることなんて絶対にない

でも、

「好きになるのやめられないなぁ・・・・・・・。」

流れた涙が頬に沁みた