革命に追い風を！ (ページ5)

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「影山輝…サッカー好きか？」

…え？

なんの前置きもない監督の発言に、私含めサッカー部の皆さん…そして当の影山君も目を白黒させ、口をポカンと開けた。

なにがどうなってこの質問に行き着いたのかよく分からないが、少なくともこの気まずい状況を打開することはできたようだ。

しばし固まる私達を背に、影山君はすぐに下げた顔を上げ、円堂監督の方に向き直る。そして、

「はい！！」

と大きな声で監督を迷いのない目で見つめ、ハッキリと質問に答えた。

すると円堂監督はふっと微笑み、

「おう！だったら迷うことはない！」

と言いきった。影山君は困惑した顔を見せる。そりゃ、さっきまでの雰囲気を考えたらそうなるのも当たり前だ。現に私も追いつけてない。

鬼道コーチが一歩前に進み出て、話を引き継ぐ。

「確かに、影山零治が雷門サッカー部にしたことは、許されることではない。だが、本当は心からサッカーを愛していた。俺達と同じくらいにな。」

影山君の言った、多大なる迷惑…でも、それをした叔父さん本人は、心からサッカーを愛していた。何だか矛盾しているように思うけど、監督達から恨みの様なものは感じない。

「何も恥じることはない。あの人が行けなかったところまで、お前が行ってみせるんだ。」

そういう鬼道コーチは、どこか遠い目をしているようで儚げで、そして優しい顔をしていた。

「影山輝！今日からお前は、雷門サッカー部の一員だ！」

円堂監督の言葉に、影山君は目を輝かせ、はい！！と大きく返事をした。

「よかったね、影山君！」

「うん！」

2人で顔を見合わせて笑い合う。いやぁ、一時はどうなることかと思った。なんだかんだ影山君が入部できてよかったよ…

本当に、アイツの言う通りになったな。サッカーが好きな人が入るのが、〝サッカー部〟だから。

少し頬を緩め、元気にしてるかな。と考えていた私の考えは監督の大きな声で中断される。

「さて、次はお前だ、A。」

円堂監督が影山君から私に目を移す。うん、なんか意識したら緊張してきた…無理、タヒにそう。逃げたい…そもそも私の初心者なんだ。こんな名門校のサッカー部に入ろうとしてること自体無謀なんだ…

緊張でおかしくなっていることを自覚しながらも、私は噛みませんように…！と願いながら震える唇を舐めた。