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「輝ー！いくよー！」
フィールドで天馬が影山君に声をかける。今は試合前のアップ中。そしてパス練だ。
「うわぁっ！」
ボールを蹴った瞬間、天馬は体勢を崩しずっこける。
そして、パスを受け取った影山君も、やはり滑ってボールから離れてしまう。
「おいA！いくぞ！」
「う、うん！」
狩屋も私に向かってパスをだす。が、それもコースをそれ、私もすべってボールを取ることは出来なかった。
「うわっ！」
横で練習している浜野先輩と速水先輩も、うまくパスできていないようだ。でも…白恋陣内で練習している3人の白恋メンバーを見てみる。
「雪村！」
「おう！」
木瀧君からのパスを受けた後、そのままエースストライカーの雪村さんがシュート。その威力は氷のフィールドだからと衰えることなく、ゴールに迫った。
やっぱり北国の中学なだけあって、滑りやすいフィールドに慣れている…フィフスセクターがここを選んだのも、それが理由か。
「皆ー！」
と、突然聞こえてきたのはベンチからこちらに向かって叫んでいる音無先生の声。全員がアップをやめ、一旦ベンチ前に集合する。
「いいニュースよ、錦君が戻って来たわ。」
「え！？」 「錦が！？」
先生から告げられたのは、あの錦さんが帰ってくる、という吉報。彼を知っている先輩達は嬉しそうに声を上げる。錦さん、イタリアから帰ってきたんだ。白恋中に勝つのに、凄くいい助っ人になる！先生が話を続ける。
「さっき空港に着いたんですって。今こっちに向かっているそうよ。」
「彼がいれば心強いです…！」
「イタリアで鍛えた腕が見られるんだね！」
と、それぞれ錦さんが来ることへの思いを口にする。イタリア留学経験を生かしたプレー！楽しみだな…！
「春奈、選手登録の追加は可能か？」
「えぇ。」
円堂監督が声をかける。海外留学の選手追加はHRで認められていた。試合に間に合うかは分からないけど、少なくとも次の試合から活躍してくれるのは間違いないだろう。
こうして良い滑り出しを切りながら、雷門対白恋のHR二回戦の試合が始まったのだった。
ーーー
「はぁ、はぁ…」
一方その頃。雷門メンバーの話題の渦中になっていた当の本人、錦龍馬はスタジアムへの道を重そうな荷物を肩に乗せ、自転車で急いでいた。
「皆まっとうぜや、すぐにいくぜよ！」
はぁ、はぁ…と息を切らしながら、彼はスノーランドスタジアムへの道を進んで行く。さて、彼は試合に間に合う事が出来るのだろうか？
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作者名：鏡華 | 作成日時：2020年2月12日 16時
