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28 〜天馬side〜 ページ29

「今だっ!」

声と共に信助がボールを奪いに動く。俺は早々にAによって抜かされてしまった。恐らく俺の癖を見抜かれていたんだと思う。明らかに動きが読まれていた。

信助がボールに触れ、またしても失敗に終わるか、と思ったその時。Aが足に一気に力を込め、加速した。目は見たことないくらいギラつき、サッカーへの思いに溢れている。これは…!

ぶわっ!と音がつくくらいの勢いでAの後ろから金色の光が溢れ出た。その勢いは留まることを知らず、信助、そして俺も巻き込んで辺りを照らし出す。その眩しさに思わず目を瞑ってしまった。

「な、これは…!」

「やった!成功だよっ!」

目を開けた時、信介の横にいたAは姿を消し、代わりにゴール前にボールを押さえて立っていた。…完璧なドリブル技だ。

「あ、あれ…?」

「凄いよ!今の、お月様がパァって光った感じがして!必殺技、完成だね!」

必殺技ができたことに気づいていないのか、首を傾げてポカンとする彼女に信助が喋りかける。その言葉を聞いてやっと実感が湧いたのか、彼女の頬に赤みがさす。

「さ、名前つけないと!やっぱり月っぽい名前だよねぇ…」

「月と光、だよね…」

Aの初必殺技なんだから、いい感じの名前にしないとなぁ…月、月…最近何かで読んだような…

「あ、そうだ!ルナライトはどう?」

「ルナライト?」

?マークを浮かべる2人に、ルナが神話に登場する月の女神の名前であることを説明すれば、成程。と納得したような声を漏らす。

「天馬、女神の名前とか知ってるんだ…」

「えちょ、失礼じゃない!?」

顔を見合わせてそんなことを言い出す2人。俺だってそれくらい知ってるから!…最近秋ネェに、「偶には本くらい読んだら?」って言われて読んだ本に書いてあったとか言えない…

「まぁいいや!僕、そろそろ帰るね!2人も早く帰った方がいいんじゃない?」

…何だかさらっと流されたような…信助の声に時計を見れば、確かにかなり遅くなっていた。お腹も空いてきたし…

「そうだね…じゃあね、信助!また練習で!」

ベンチに投げっぱなしだった鞄を拾い上げ、河川敷上の道路で信助と別れる。Aみたいに、俺もタクティクスと必殺技、完成させないとな…!

ーーー
技 ルナライト
  風属性
オリンポスハーモニーの月verのようなもの。後ろに月が現れ、発動者とDFを光で包んでその隙に抜き去るドリブル技。

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作者名:鏡華 | 作成日時:2020年2月12日 16時

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