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と、キャプテンに話を振られる。まぁ、ドリブルもろくにできない初心者がでしゃばり始めたんだから当たり前なのだが。
「私、プレーはまだまだですけど、ずっとサッカー観戦をしていたおかげで相手のチームの分析とか、そういうのは得意なんです。」
こうなることは予測済みなので、落ち着いて返答する。
「と言うことは、監督が言っていた綾森の実力って…」
「あぁ！Aの分析能力は確かなものだ。神童の司令塔としての能力と合わせれば、必ず戦力になると思って入部してもらったんだ。」
円堂監督が立ち上がって補足する。まさか試合観戦がこんな風に役に立つ時が来るとは。…実は選手の分析を担当してたことがあったのだが。
「キャプテンの司令に役立つ情報を、試合前も試合中もお伝えできたらと…私が試合出れたらいいんですけど、まだ全国大会に通用するほど上手くないので。」
「Aは分析官だったんだね…！カッコいい！」
「いやいや！そんな大層なもんじゃないからね！？」
目をキラキラさせてこちらを見つめる天馬の言葉を全力で否定する。こんなこと、前にもあったような…デジャブ。
「だが、確かに素晴らしい才能だ。これからよろしく頼むぞ。綾森。」
「は、はい！！」
キャプテンが褒めてくださった…！と感動する。キャプテンはTVでも取り上げられるほどの天才的な才能の持ち主…そんな人に褒められた、もう説明は不要だ。凄く嬉しい。
「よし、では新たな必殺タクティクスの練習をするぞ！グラウンドに集合してくれ！」
「「はい！」」
円堂監督のかけ声に自分の考えを払拭し、大きな声で返事。
「綾森は見ていて分かったことやタイミングを天馬と剣城に教えてやってくれ。」
「わ、分かりました！」
キャプテンの声に頷き、返事をする。雷門イレブンの一員としての初仕事だ。大丈夫、前と同じようにやればいいだけ。
「天馬、剣城君！」
横をスーッと通り過ぎようとした剣城君。そうは問屋が下さないよ。時にチームメイトとのコミュニケーションも大事。何気に剣城君と話すのはこれが初めてだ。彼は1人を好んでいるイメージが強い。雷門はフレンドリーな人が多い為、慣れないことではある。
「私、頑張るから！2人もタクティクス、完成させてね！」
「もちろんだよ！ね、剣城！」
「あぁ。頼むぞ。」
天馬の振りに少し笑って答える剣城君。…この人も天馬の輝きに飲み込まれてたか。と1人納得した。
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作者名：鏡華 | 作成日時：2020年2月12日 16時
