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「…でっかいなぁ」
開いた口が塞がらないままに、目の前の建物を見上げる。これ、サッカー部の部室だって話だったけど。とんでもない大きさだ。
首を傾げつつも、ここで立ち止まっていても何も始まらないので中に入り、足を進める。中の広さも正に規格外。…資金については考えないでおこう。
「部屋が多い」
ボソリと呟く。さっきから見回ってはいるものの、部屋が多すぎる。まぁ外見からして予想はできたけど…見渡す限り私以外に人はいないし。困った。案内板とかあればいいのに…普通に学校クラスの大きさなんだけど。監督何処にいるんだ。
「あ、あれ〜ここでもない…」
と、私の現在位置であるロッカールームの外から声が聞こえてきた。少し高めだけど、恐らく男子の声だろう…まさか、入部希望者?
「あ、あの…もしかして、貴方も監督のこと探してたりします…?」
急いで部屋を出て、他の部屋に行こうとする彼に声をかける。突然の自分以外の声にビクッと肩を震わせ、ひゃいっ!と噛みながら大きく返事をする彼。…何だこの子可愛いな。
「あ、えと、僕ですか…?はい、広すぎて何が何だか全然分からなくって…」
しゅん、と効果音がつきそうなほど落ち込みながら返事をした彼の名前は、影山輝君。私と同じく入部しに来たものの、監督が何処にいるのか見当もつかず迷っていた、とのことだった。…早急に案内板の掲示を求む。
チャチャーン!と頭の中で仲間が増えたことの喜びのファンファーレを鳴らし、某RPGの様な雰囲気に浸りながら、今度は彼と共に監督探しを続行する。ロッカールームから北に上がり、沢山の部屋に耳を当て(側から見れば唯の不審者である)声がする部屋を探す。
「あ、これかも」
おーい!と反対側を探していた影山君を呼び出す。1番奥の部屋から細々とだが声が聞こえる。それも複数人のだ。ミーティング中だろうか。そういうことはちゃんと連絡して欲しかった。…今更だけど緊張してくる。やだ怖い。足震えてきた。
「ッ、ドキドキしますね…早く入りましょう!」
こんな状況でも元気な彼に尊敬の念を抱きながらも、私は(最新式であろう)扉を開ける。その先に見えるのは、突然の来訪者に驚く雷門イレブンの皆さん。…特にあの背の低い人の視線が痛い。
「誰だよ、お前ら」
えと、初対面ですよね…?何でそんなに敵意向けてくるんですか。いや、怖い。どっかで見た様な見た目してる癖に!…あれ、何処だっけ…?
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作者名:鏡華 | 作成日時:2020年2月12日 16時