썸 ページ10
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人との出会いというものは本当に不思議なもので。
空港で出会った悠太くんじゃない方のユウタくんとは、良好な交友関係が二ヶ月を過ぎた現在でも続いている。
スーツケースを取り違えただけなのに、本当に人生は何があるか分からない。
「ねぇ？ぼーっとしてると置いてくよ？」
「わ！びっくり。なんて言った？」
「もうちょっと早く歩いて欲しいな」と、言葉だけ並べてみると優しそうな文面ではあるが彼の表情とジェスチャーから察するに若干イラついてるのかもしれない。
だって初めて来たから、どこも新鮮で見入っちゃうんだもん。
バンクーバーに飛んできてからの二ヶ月で何があったのかというのは説明がめんどくさいので割愛する。
が、日本人留学生ユウタとは2人で小旅行にまで行けるような仲にまで発展した。
発展っていうとちょっと違う？
仲が深まったとでも言っておこう。
いやそれもなんか別の意味になっちゃう？
とにかく、ベストフレンド的な意味での仲の良さってことで。
「も〜あちこち気になっちゃうの子どもすぎるから」
「子どもって、...お姉さん、君より年上だよ？」
「知ってる(笑)無邪気すぎるってこと」
わたしのノロノロ歩行スピードに痺れを切らしたのか、手を引かれて強制的にユウタの隣に並んだ。
無邪気って、そんな年齢でもないんだけど？笑
なんか恥ずかしいと思いながらも、似たようなことをよく言っていた人のことも思い浮かんだ。
「なにその顔」
「や、なんかよく言われてたなと思って」
「子どもっぽいって？」
「うん。悔しいけど」
「あはは、悔しいってなんだよ〜(笑)」
妙なツボに入ってしまったらしく、手を叩いて笑い始めた彼もまた年相応に子供らしい一面があると思う。
今はそんなこと言わないけど。
「あ、分かった。あの人でしょ」
「あの人？」
「なんだっけ、ジェイ？Aの彼氏さん」
「ジェイ？彼氏？....知り合いに両方存在しないんだけど」
「はぁ？いつも写真送ってる人いるじゃん。まじで彼氏じゃないの？」
「あージェヒョンか...んふ、ジェイㅎㅎ」
今度はわたしがツボに入ってしまって笑ってると、無駄に真剣な顔のユウタが視界に入ってきた。
「彼氏じゃ、ないの？」
「え？うん。ジェヒョンは彼氏じゃないよ」
「....まじかよ」
そうだったらいいなって、思ったことは一度や二度のことじゃないんだけど。
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作者名：ナカム
| 作成日時：2024年1月28日 20時
