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" Aはkpopがすきなんだ？ "
ドキン、と心臓が大きく音を立てたのは30分足らずの時間のなかでナチュラルに初対面の人を呼び捨てにできるこの子のプレイボーイスタイルではない。
『あ、...え？』
「ほら、この韓国語のメッセージ。bubbleってやつでしょ？」
なんという盲点。
会話を成立させるために彼と自分の間に置いていたスマホ。
受信するメッセージの通知があろうことか丸見えだった。
忘れてた、っていうか、うん。
なんかもう、海外に来て気が抜けすぎ？
ドヨンイヒョンまじでごめんなさい。
でもほら、まだバレてないし。
『あー...これは友だち。bubbleじゃないよ』
送り主はbubble同様、正真正銘のアイドルだけど。
「あ、普通に！？A韓国語話せるんだ！」
『うん。まぁ、一応それで仕事させてもらってますㅎㅎ』
話を聞いていくと彼の妹さんが韓国アイドルが好きらしく、bubbleの存在を知っていたみたいだ。
まわりの友達にもそういう子がいるから、自分はよく知らないけどその存在は認識している、とのこと。
「すごいね。でも、ちょっとアイドルだって言われても納得しちゃうかも」
『納得？』
「うん。Aめちゃくちゃ綺麗だもん」
『わぁ....ありがとう。君、本当に日本人？』
「その反応、言われ慣れてるんだね〜？」
ニヤニヤと笑う彼はマークというよりドヨンイヒョンにイタズラを仕掛けている時のヘチャンの顔。
こういう表情って万国共通だよね。
「それに俺、彼氏いる人は狙わないから」
『ん？』
「さっきからのその人。Aのboyfriendじゃないの？」
『んふふ、違うけどね？』
ドヤ顔で言い切る彼に思わず笑ってしまうと、なんで笑うのってムッとしていた。
それはそうとコーヒーでも一杯、にしてはわたしたちここに長時間滞在してしまっているような？
わたしは別になにも予定がないからいいんだけど、この子はそういうわけにもいかないだろうし。
『ユウタって名前の人はみんなチャラいって決まってるの？』
「あはは、なにそれ〜。俺別にチャラくないでしょ」
おんなじキャリーケースを持っている彼、もとい大学生のユウタくん。
ハプニングの記念に、なんてよくわからない理由で別れ際はちゃっかり連絡先も交換しちゃったし。
やっぱりユウタって名前の人は軽くて適当な節があるんだと思う。
そんな不思議な、この国での一番最初の出会いだった。
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作者名：ナカム
| 作成日時：2024年1月28日 20時
