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空港の職員さんとか、周りの人とか、それはもうたくさんの人を巻き込みながらこの青年とわたしのやりとりはやっと成立した。
確かに同じキャリーケースを持ってるな、それを指差してなんか言ってるな、とは思ってたんだけど。
わたしがこの子のと自分のを取り違えていたらしい。
本当に心の底から申し訳ない。
周りを巻き込んでこんな大事になっちゃったのも、自分の荷物をよく見てなかったわたしが100%悪いので。
「いや、全然ボクは大丈夫です！むしろ後ろから驚かせちゃってごめんなさい」
『いや、こちらこそすみませんでした...』
それでびっくりすることに、手話が出来る子だったのだ。
そんな奇跡ある？
外国で手話ができる人と偶然会う確率ってどのくらいなの、！？
しかもマークに似てる。(関係ない)
あ、ちなみに見立て通り日本人だった。
語学留学で大学に通う為に来たのだと、瞳を輝かせながら言っていた。
勉強熱心な感じとかやっぱりマーク。
時間に余裕があって、別に急いでいるわけではないというのでお詫びにコーヒーでも....と今は彼を連れてカフェにいる。
日本の大学ではラクロスをやっているらしく、浅黒く健康的に焼けた肌が彼の爽やかな雰囲気を演出している。
多分この子はkpopとか知らなさそうだし、わたしを見てもなんの反応も示さなかったので大丈夫だろうと踏んで誘ってしまった。
こんなのドヨンイヒョンに知られたもんなら、その小言が止まる未来は見えない。
「お姉さんはなんで？お仕事ですか？」
『あーうん。仕事、なのかな？』
「なのかなって？？笑」
『旅行、？に近い感じでもある』
NCTのみんなと話すときに使っていたアプリを起動させて、わたしも声を出して喋ってる。
初対面の人にそんなこと絶対にしなかったはずなんだけどマークに近いものを感じたからなのか、わたしは勝手に友達のテンションになってしまっていて申し訳ない。
あ、この子.....お姉さんって言った、？
ジーンズにパーカー、ショートヘアーにキャップをかぶっている今の自分の風貌がなんの疑いもなく女性と捉えられたことに正直驚いた。
身長もそれなりにあるし、持ち物にかわいいものはなにも身につけてないのに。
「なにそれ！めちゃくちゃ自由でいいっすね？」
そっか。
わたし、ちゃんと女の子にも見えるんだ。
その気持ちがなんなのかよく分かんなかったけど、
悪い感情ではなかった。
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作者名：ナカム
| 作成日時：2024年1月28日 20時
