君のための単語。3 (ページ24)

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9,598km ページ24

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知らない街を歩くと、その景色を見せたくなる人がいる。

瞳に映した瞬間を写真にして、わたしの世界を共有したいって思い浮かぶ人がいる。

メッセージや電話のやり取りに必要性をあまり感じていなかった自分が、いつからかそう思うようになったのがあまりにも不思議だ。

.そっちはいま何時?

.こっちはまたおやつタイム!そんなに時差があるんだね

재현ㅎㅎㅎ

頻繁に送ってしまう連絡にマメに返してくれるこの男。

彼のbubbleは1週間に1度くるか来ないかだと聞いたことがあるのに、プライベートとなればまた話が違うらしい。

絵文字も特にない無機質な文字が並ぶメッセージからでも、言葉選びにおっとりとしたジェヒョンの性格を感じる。

会いたい

目を合わせて話がしたい

本当はそう言えればいいんだけど、素直な気持ちを正面から伝えられるほどの勇気が残念ながらわたしにはないから。

彼から、彼らから、離れるために自分から作った距離。

離れれば離れるほど、伝えたい言葉が溢れて止まらないのはどうしてなのだろう。

毎日同じ場所にいた頃は、言葉にする必要のなかったものでさえ、きちんと言葉にして伝えないと落ち着かない。

今さらだと自分でも思う。

でもこの世界ってそうやってめんどくさくできてるんでしょ？

大切なものは失ってから気付くってよく言うしね。

.今日wishの子たちに会ったよ

재현うん

.もう聴いた?

재현俺たちはまだ。でもAの曲だって知ってドヨンイヒョンがびっくりしてたㅎㅎ

.少し前に作った曲だからジェヒョンにも聞かせたことあるやつだったと思う

재현そうなんだ

彼の過ごす時間は深夜。

多忙なジェヒョンをはやく休ませてあげないといけないけど、わたしはこの時間を手放すのが惜しくてどこにも繋がっていない脈絡のない言葉で会話の糸口を探そうとしてしまう。

おやすみって送ってこのトーク画面を閉じるべきなのに。

재현A

.なに?

재현帰ってくるなら連絡してね

.うん

わたしたちの会話はいつも遠回りで焦ったいけど

一番欲しい言葉を知ってるのは、やっぱり君しかいないんだよね。

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