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NCTWISH RIKU
「どう？この曲？」
Aさんがそう言って、俺たちの間には一瞬の緊張が駆け抜ける。
でも、表情を見てすぐにそれがこの人のシンプルな好奇心であったことが感じ取れた。
俺たちとAさんの間に置かれたケータイ。
今まで自分が生活をしてきて見たことのないアプリは、飛び交う言葉を正確に文字に起こしている。
" 耳、聴こえなくなっちゃってさ "
その言葉を聞いた時、自分がどんな顔をしていたのかは想像できない。
あぁ、それがこの人がアイドルを辞めざるを得ない理由だったのだと心のどこかで納得してようやく言葉を噛み砕いた。
ryo「めっちゃ良い、です」
「わぁ！うれしい。結構前に作った曲だったから今のトレンド？とかはちょっと入ってないかもだけど。
うん。気に入ってくれたならすごく嬉しい」
sakuya「えー...かわい」
「あ、え？オレが？(笑)」
元スーパーアイドルの本物の笑顔を至近距離で見て、思わず漏れたマンネの心の声は文字に起こされて簡単に本人に伝わった。
焦ってるサクヤには申し訳ないけどめちゃくちゃ笑える。
いや、分かるよ。
美少年っていうか、もうなんか綺麗なお姉さん？
とにかく、表舞台にしばらく出てない人のビジュアルとは思えないのだ。
「あはは、褒められてる？よね？ありがとう」
sakuya「いやもうめちゃくちゃに褒めてます！」
「みんなの方がかわいいよ」
ryo「かっ...！！」
ついに撃沈したリョウが耳まで赤くなっていく顔を両手で隠した。
初対面の人にはそれなりに人見知りを発揮してしまうんだけど、
自分より緊張してる人がいるからなのか、
それともAさんの柔らかい雰囲気からなのか、
母国語で安心してるのか、
どの理由であれ、自分はなぜかとてもリラックスしているように思う。
「シオンくんはジェヒョンに似てる」
shion「わぁ、恐れ多いです..」
「ユウシくんはロンジュンだねぇ。いや、リョウくんもロンジュン？ロンジュンが2人ってこと？」
sakuya「ちょっと何言ってんのこの人(笑)、あ！やべ、文字にしないで！！！」
yushi「さすがに学べよ」
「サクちゃん辛辣じゃない？あ、リクくんはマークだね」
目があってニコッと細められた瞳。
普通にキュンとしちゃったよ。
当たり前だけどAさんの口からは先輩たちの名前がたくさん出てきて、やっぱりメンバーだもんなって変な部分で感心した。
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作者名：ナカム
| 作成日時：2024年1月28日 20時
