. ページ19
.
TY
流れていくトークに俺たちが知りたい情報が何一つ出てこないことに、隣に座る男は深いため息を吐いた。
TY「ドヨンア、Aなんだからしょうがないよ」
DY「あーヒョン...勝手に心の中読まないで」
久しぶりに送られてきたセルカの写真は相変わらずの美少年っぷりで、俺はそっちの方にため息をついてしまいそうになった。
もちろん顔を見せてくれるのは嬉しいけど。
ジョンウやヘチャンなんかは久しぶりに送られてきたセルカを大層喜んでちゃっかり保存までしてる。
そのついでに横にいるかわいい後輩へずるいだなんだと醜い嫉妬の一言まで添えて。
あの子がいまバルセロナにいる理由を知ってるのはおそらくこの場では俺とジェヒョンだけ、かな？
作りかけの曲も含めて、それを会社に全部渡したA。
自分が会社に所属していた頃に楽曲を提供した時はタイトル曲に使ってくれることなんてなかったのに、退社した後にまさかデビュー曲に決まるだなんて複雑だと1ヶ月ほど前にメッセージで言っていた。
俺もデモの段階で聴いたことはないから、どこまで修正がかけられているかわからないけど、確かに彼女らしい爽やかな曲調と前向きな歌詞のポイントだった。
それが、俺たちの中で最後のデビューチーム NCTWISHに送られたのは必然だったのかもしれない。
TY「ねぇ」
DY「なに？」
TY「俺が教えてあげよっか？」
DY「何を」
TY「AがWISHと会ってる理由」
DY「あ、...え？」
ドヨンと2人で話しているつもりだったが、俺が言葉を止めてから複数の視線が自分に集まったのがよく分かった。
MK「なになに？Aヒョンの話？」
JW「あー！また隠し事ぉ！？」
TY「またってなんだよㅎㅎ」
HC「ヒョンには前科があるんだから、洗いざらいちゃんと話してください」
"Aが作詞作曲したということも併せて発表する"
この話を聞いた時、本当にAはそれを快く了承したのだろうかと正直疑った。
TY「WISHの曲、Aが作ったんだよ」
だって君は、普通の女の子に戻る為にこの場所に別れを告げたのだとばかり思っていたから。
AがNCTに関わってくれるのはもちろんすごく嬉しい。
嬉しいけど、
君が願っている本当の幸せは多分ここじゃない場所にあって
俺たちの存在がその幸せをを遠ざけてるのが
ほんの少しだけ分かってしまうような気がして悲しくなるんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナカム
| 作成日時：2024年1月28日 20時
