君のための単語。3 (ページ2)

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『ていうかさ、本当にテンちゃんはなんでここにいるわけ？』

TN「んー？だから、お姫様のお見送り担当だって言ったじゃん」

うん。それは最初に聞いたけど。

みんなの前で普通にお姫様って言うのも辞めて欲しいし。

TN「誰も見送ってくれないのはさすがに寂しいでしょ〜？」

『...いや？、そんなこともないけど、』

TN「やー！！素直に寂しいって言いな！」

『こわいㅎㅎ』

素直に寂しくないし、普通に空港まで着いてきてるのがめちゃくちゃ疑問だけどここは一つ黙っておく。

どうしてわたしたちを乗せたバンが空港に向かっているかというと、

大層お世話になったSMさんとのお仕事が無事終了したのがひとつ。

いまの翻訳のお仕事はパソコン一つあればどこでもできるものなのがふたつ。

いまのうちに？世界中飛び回ってみたいなって好奇心が湧いてきたのがみっつ。

それだけの理由で空港に向かってる。

だから嫌になったら多分すぐ戻ってくるし、気に入ったら違う場所で暮らすかもしれないけどそんなに盛大に送り出してもらうほどのことではないのだ。

TN「ジェヒョンはなんて？」

『暇な時はセルカ付きのメッセージ送ってねって』

TN「あは、なにそれ。暇じゃない時は？」

『セルカなしのメッセージでいいよって』

TN「あいかわらず激重なんだけどㅎㅎㅎ」

ジェヒョンも昨日は信じられないくらい飲んでいたのに誰よりも涼しい顔をしていた。

車を降りる直前に、いってらっしゃいってシンプルなやつだけ。

頬のへこんだ窪みを見て、これがしばらく見れないのはちょっと寂しいかもって思ったりして。

TN「帰ってくる時は絶対教えて」

『うん。近くでコンサートやってたら見に行ってあげる』

TN「それいいね。みんな喜びそう」

本人はかなり不服そうだったが、バンの中でお別れをして空港には一人で到着した。

ファッションやスタイルでただでさえ目立つのに、この人全然それ自覚してないし普通にハグとかしてくるしなんか色々危険だったから仕方ない。

楽しんでおいでってなめらかに手で紡がれたメッセージがあまりにもテンちゃんらしくてあったかくなったのは、ここだけの話。

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