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学園に帰ってきた頃には、既に日が沈んでいて辺りは真っ暗だった。
左右にある街灯を頼りに私達は夜道を歩く。
人気が全くなく、静寂が広がっていた。
まるで、エースと私とグリムだけがこの世界にいるのではないかと思う。
A
「別にオンボロ寮まで送らなくても大丈夫だよ」
寝ているグリムを腕に抱えながら、私は遠慮気味に言った。
エース
「いいの。お前に何があるかわかんねーし、仕方なく送ってやるよ」
エースはなぜか上から目線で言う。
まぁ、ここの生徒って基本上から目線だから仕方ないと思った。
A
「ありがとう、エースって彼氏ずらするよね〜」
ま、そういう所も好きだけど
エース
「そんなつもりはないし」
そういう自覚ない所がリアコ製造機なんだよなぁ。
好きだけど
私は今日1日を振り返る。
コーヒーカップでグリムが飛ばされて焦ったこと。
お化け屋敷トロッコで密の怖さを思い知ったこと。
それとゴーカートでエースに勝って嬉しかったこと。
久々にメリーゴーランドに乗って童心に帰れた。
皆で一緒に食べたチュロス美味しかった。
あとはジェットコースターで叫びまくって気持ち良かったなぁ。
それに、皆と観覧車に乗って綺麗な景色見れた事は一生の思い出。
今日1日が夢のように楽しくて、本当に明日になったら忘れるのではないかと思った。
例え夢であっても、一生忘れたくない。
そんな気持ちからなのか、自然と言葉が出た。
A
「私、こんなにも楽しいと思わなかったよ」
エース
「…俺も」
私の独り言に相槌を打つようにエースが答えた。
ん? 聞き間違いかな? エースのデレが聞こえたぞ!
A
「どした? 頭でも打った?」
エース
「なんでそうなるんだよ!」
A
「え、だって、あのエースが素直に『…俺も』とか言わないやろ!」
エース
「お前なぁ…俺がどんな気持ちで言ったのかわかんねーだろ! 」
エースは怒ったように言うが、
どことなく照れ隠しに見えた。
そんな可愛い推しに意地悪するように、
好奇心もセットで聞く。
A
「どんな気持ちっすか!? 聞かせてください!!」
エース
「言わねぇーよ! それに、お前の方こそ頭打っておかしくなったんじゃねーの?」
A
「は!? なんでそうなるねん!」
なぜかエセ関西弁の口調になってしまった。
私とエースはムスッとした顔でにらめっこする。
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ダブルブェ(プロフ) - こうめさん» こうめさん、ありがとうございます! 頑張ります! (2021年2月14日 14時) (レス) id: fbab1bff8c (このIDを非表示/違反報告)
こうめ - 続きを全裸待機 (2021年2月13日 23時) (レス) id: ed55d3266f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ダブルブェ | 作成日時:2020年12月17日 21時