リトル・ヒアー III (ページ31)

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目が回りそう、！

『Aちゃん、次こっちの商品お願いね』

｢はい、！｣

ヘルプで入った今日は、何故かいつもよりお客さんが多くて、一段と大変だ

小さなケーキ屋さんなのに、店内が人で埋め尽くされてしまっている。

注文されたケーキが持ち帰るまでズレてしまわないように箱に詰めて、保冷剤や紙袋に入れてからお客さんに渡す状態にするのが私の仕事。

だけど自分を保っていないと注文を間違えてしまいそうなくらいの人の量だ。

またカラン、と鳴った入口のベルに
無意識にも口がへの字に曲がったところだった、

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｢すみませーんケーキください！｣

『どれに致しますか？』

｢えっとー、ショートケーキとお、いちごタルトとお、、おねえさんのおすすめってどれですか？｣

一旦注文票が途切れたなあ、と思ったら
ショーケースを前に迷っているお客さん。

こんなに美味しそうなケーキがたくさんあったら、あっちこっちに目移りしちゃうよなあ。

そんなことを思っていれば、視界の隅に入ってきた黒いダウン。

なんとなく見慣れたあれ、着てたのは誰だったっけ…？

『Aちゃん次これお願いねー』

｢はい、｣

渡されたいちごばかりの注文票にわくの顔を思い出して、
それだけで頬がゆるむから、こんなにも自分の中にわくが大きく存在していることを自覚する。

｢お待たせ致しまし、た、、｣

颯太｢わーいありがとうございます、…ええA？！｣

キラキラデコレーションされたケーキたちを綺麗に詰めて、渡そうと振り返れば

さっき見たことがあると思った黒いダウンを着た颯太が、そこに立っていた。

颯太｢え、そこでなにしてんの？！｣

『あらあAちゃんのお友達？』

｢えっと、はい…｣

『ならもうあがって一緒に帰っても大丈夫よ！そろそろ時間だし』

颯太｢まってどういうこと？？？！｣

｢そ、颯太外で待ってて｣

タイミングがいいのか悪いのか。

これならまだ終わりじゃない方が個人的には助かりました、、なんて思いながら挨拶をして裏に引っ込んだ。

まさか颯太がお店に来るなんて思いもしなかった。
はあ、どうしよう…。

鉄製の扉がいつもより重く感じて、開けるのに一苦労した。

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