・ ページ29
.
『おつかれ様Aちゃん！また明日もよろしくね〜』
｢はい、おつかれ様でした…！｣
わく、どんなのだと喜ぶかなあ
なにが嬉しいかなあ…って帰り道に考える時間が楽しくて
喜んだ顔を思い浮かべれば長い時間のバイトもがんばれるし、疲れも吹き飛んだ気がして
平日は少ししかできないけど、休日は8時間のシフトを入れてもらったり。
でもそのせいでわくといる時間が減ってしまっているのは確かで
｢用事でもあんの？｣って聞かれるたびに理由を言うことができないのが、少しだけ苦しくもあった
.
湧 ｢やっほー｣
｢え、｣
湧 ｢今日なんもないんでしょ？お邪魔しまーす！｣
｢そうだけど、｣
学校以外で久しぶりに会えた休日。
いや、わくが会いに来てれた の方が正しい。
湧 ｢嬉しいなら素直に笑えよ(笑)｣
｢ありがとう、…うれしい、｣
湧 ｢ん、俺も。｣
にやけそうになる顔を必死に普通の状態に保とうとしていたら、いつの間にか変な顔になっていたみたい。
わしゃわしゃ頭を撫でられるのすら久しぶりで、ボッと顔が熱くなった。
いつもみたいに勝手に入ってきたわくとだらだらおしゃべりしながら、2人でのんびり過ごしていた昼下がり。
湧｢A、電話鳴ってる｣
｢え、ありがとう、！もしもし…？｣
光りながら着信を知らせたわたしの携帯は
ベッドの下に座るわくの近くに置いてあって、そこから手で取って渡してくれた。
『あ、もしもしAちゃん？』
｢…！はい、おつかれさまてす、！｣
電話の主は、バイト先の店長。
つまりお母さんの友達のあの人で。
片耳に携帯を当てて電話をするのが苦手だからいつもはスピーカーにしているのに
そうせずにそのまま敬語で話すわたしの姿を後ろから不思議そうに見つめるわくの視線が、少しだけいたい。
『あのね、明日急遽来れなくなった人がいて、、
もしAちゃん空いてたら午後から入ってほしいんだけど…』
｢あ、大丈夫…です、！｣
『あらーほんと！？良かったわ〜ありがとう！！じゃあ明日、よろしくお願いします』
｢こちらこそお願いします、｣
会話、間違って聞いたりしてなかったよね。大丈夫だよね。
ガチガチに上がってしまっていた肩をひとまず降ろして
しっかり電話を終わらせられたことへの安心感から ふう、と息を吐いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1009人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「少年忍者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スイ. | 作成日時：2021年8月31日 21時
