リトル・ヒアー III (ページ20)

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120dB ページ20

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｢おはようございまーす！！｣

『おはよう湧くん、
昨日はいろいろとご迷惑おかけしたみたいで…』

｢いやぜんっぜん！！むしろAのおかげで勝てたから大丈夫！！(笑)｣

いつものように開けたAん家のドア。

無意識だけど、リビングから出てきたAのお母さんに今更ちょっとだけ緊張。

『…あ、そういえば起こしに行った時あの子の部屋に湧くんのハチマキがあったんだけど、

もしかして間違えて持って帰ったんじゃないかしら』

あとで返させるわね、ごめんねって言ってるけど

いや、それあげたんです。なんて言えずに
あはは、！って笑ってごまかした。

べつに隠そうってわけじゃないんだけど、逆に言うタイミングもわかんなくて。

でもこんな朝っぱらから娘の幼なじみに『昨日から付き合ってます！』なんて言われたら
Aのお母さんだってびっくりしちゃうだろうし。

A｢！わくおはよう｣

｢おーおはよ、｣

パチっと合ってからお互い逸らした目線に、ちょっとだけむず痒いこの空気。

…なんか、告白した前よりも意識しすぎじゃね？俺たち。

『A、あとでちゃんと湧くんにハチマキ返しなさいよ』

A｢？なんで？？｣

『なんでって、間違えて持ってきたでしょ？』

｢っあー！！違うの、あれ俺があげたやつだから！！返さなくていいの大丈夫！！｣

『あらそうなの？…えっ、もしかして』

A｢わ、わー、！！行ってきます！！｣

｢ちょ、おいA！！
あー…また今度ちゃんと来ます、すみません｣

『えっと、、Aのこと、これからもよろしくお願いします、湧くん』

｢…はい。｣

なんか(多分)バレちゃったけど、まあいっか。

数メートル先であわあわしてるAを捕まえて
並んで歩く通学路は、心做しか昨日よりも色づいて見えて

｢なあ、ソワソワしすぎ(笑)｣

A｢だ、だって｣

｢だってなに？彼氏になったわくくんと一緒に登校できて嬉しい？？｣

A｢〜、｣

｢ははは！(笑)｣

真っ赤になった顔が可愛くて笑えば、ぺしっと大して強くもない力で肩を叩いてくるから

仕返し〜って、そのまま手をとった。

A｢わ、わく、手！｣

｢ん？だめ？｣

A｢…学校に入る前まで、なら｣

握った手のひらは、ぜったいずっと離したりしないって

これから続く未来とAの横顔に、そう誓った。

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