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別れ。 ページ3

前作からの続きだよ!

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中也side


目を瞑ったAの頬にそっと触れる。


きっと、Aに素手で触れるのは今が最後だろう。

そう思うと、もう滅茶苦茶にしてやりたくなってしまう。

けど、今Aはかなりの重傷を負っている。
それに、怖がられたり嫌われても嫌だ。

何よりここは外だし。


なんとか理性を保ちながらAの髪に触れる。

つやつやでサラサラな綺麗な髪。

Aの全てが愛おしくてたまらない。


「なぁ、……キスしても良いか」

Aがただでさえ大きな目をさらに見開いて、俺の目を見る。

何言ってるの?と言いたそうな顔。

そのまましばらくフリーズしてから、じょじょに顔を赤らめる。

「え……え…」

ようやく、言葉の意味を理解したらしい。

顔を真っ赤にして、目をそらす。

そして目をギュッと瞑りコクコクと小さく頷く。


あぁ、本当に可愛い。


Aの頬を持ち、キスをする。

さっきより、長く。


薄らと目を開けると、Aの目尻に涙が浮かんでいた。


記憶を失ったら、もうこんな事出来なくなるかも知れない。
そう思うと、もっと離したくなくなる。

けど、やっぱりAの事を考えると段階を踏むべきだ。

理性で自分を抑え、そっと唇を離す。


Aがゆっくりと目を開く。

恥ずかしそうに、ほてった顔を冷やすため、手でパタパタと扇ぐ。

そんなAの頭を撫でて立ち上がり、予備の手袋をはめる。

「さぁ、そろそろ帰らねェとな。立てるか?」

「あ、うん、立てる…はず…」

立ち上がろうとすると傷が痛むのか、顔をしかめて身を縮める。

力入れんな、と言い、Aを抱き上げる。

お姫様抱っこをされたAはまた顔を赤くして、焦った様子で言う。

「わ……私の心臓が持たないんだけど……」

「傷が悪化したらどうすんだよ」

俺の心臓の方が持たねェよ、と言いたかった。

しどろもどろしているAを見て言う。

「もう、帰って良いか?」

「うん。私のわがままにつきあってくれてありがとう」

まだちょっと恥ずかしそうに、はにかんで笑いながら言った。


そして、目を瞑って、呟いた。

「さようなら。」


俺も目を瞑り、元の世界に帰る決意をした。


体がフワッと浮く。

初めてAに会ったときや、さっきこっちに来たときと同じ感覚。


荒覇吐のいない単体の俺は、これで最後だ。


自分自身に別れを告げた。

「さようなら。」

安堵。→←荒覇吐の存在が。



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設定タグ:中原中也 , 文豪ストレイドッグス , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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nao - 私情はさみます……すいません、覚えてるかな、うちのことmaoです、これ見てくれてたら嬉しいです、そして返信くれると嬉しいな……… (2020年9月29日 23時) (レス) id: cb11543b97 (このIDを非表示/違反報告)
きおく(プロフ) - やっぱりハッピーエンドですよね…!!分かりました!!夢主ちゃんも中也も幸せにします!!コメントありがとうございました!!! (2019年9月26日 17時) (レス) id: 8fb2214b40 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - ハッピーエンドにしてあげて下さい!!  (2019年9月26日 17時) (レス) id: 2eff2af79a (このIDを非表示/違反報告)
きおく(プロフ) - なるほど…!!ありがとうございますー!!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 8fb2214b40 (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 私はハッピーエンドがやっぱりいいです! (2019年9月24日 12時) (レス) id: 11efb22fa1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きおく | 作成日時:2019年7月22日 18時

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