検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:24,064 hit

ずっと。 ページ19

Aside




今日も、外を眺めていた。


ヨコハマの、海を――――。


横にはいつも通り、中也がいる。



でも、いつもと違うことがひとつある。

いつもより、心の底から色んな感情が溢れてくるのだ。


最近は、ただどうしようもなく悲しくて、無力感に苛まれていた。

その中で、中也の存在だけが唯一の救いだった。

でも記憶は曖昧で。

過去という物が何かさえ分からなくなるときもあった。


もう、私に過去なんて無いはずなのに、まるで、複雑でそれであって幸せな沢山の過去を持っているかのような、複雑な感情が湧き出てくる。

まるで、今までの中也との記憶が全て残っているかのように。


幸せな記憶が心の底から溢れてくるような感情になるのだ。



この感情はきっと、神様が与えてくれたんだ。



Aという人間の終わりを告げる日に。








――――――――――――――ねぇ、中也




どうした?と、中也の優しい声が帰ってくる。




「私、中也と出会えて良かった……。中也と出会えて、本当に幸せだった…………」

中也が、目を見開いて私を見た。


目頭が熱くなって、中也の顔がぼやけていく。


悲しくて泣いているはずなのに、えへへ、と笑みが零れる。


ぽとぽと、と涙が落ちる音が部屋に響く。


「ちゅ……う…や………」


名前を呼んだら、さらに涙が溢れてきて、手で顔を覆った。

泣き止もうと、深呼吸をしようとしても、嗚咽で、上手く息を吸えない。


ふと、頭に温かい感覚がした。

顔を上げると、中也が私の頭を撫でていた。




凄く、悲しそうな顔。


でも、いつも通り、優しく笑ってくれる。




「俺も、Aと出会えて、本当に良かった……本当に、幸せだった……」


そこまで言うと、ギュッと私の体を抱き締めた。



中也の体温が、冬の冷え切った私の体をじんわりと温めて、それがあまりにも幸せで、涙が止まらなくなる。


「A…………俺は、お前が記憶をなくしたとしても、絶対お前のそばにいるから、離れたりしねェから、大丈夫だ。絶対、一緒にいる。」


「うん……ありがとう……」


そういって、顔を上げて、触れるだけの優しいキスをした。








「中也…………記憶が無くなっても、




ずっと、中也のこと、愛してる――――――。」








「あぁ、俺もずっと、



Aを愛してる――――――――。」





そう言って、もう一度、優しくて甘い、キスをした。

終わりに。→←作者からのお知らせです



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (57 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
134人がお気に入り
設定タグ:中原中也 , 文豪ストレイドッグス , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

nao - 私情はさみます……すいません、覚えてるかな、うちのことmaoです、これ見てくれてたら嬉しいです、そして返信くれると嬉しいな……… (2020年9月29日 23時) (レス) id: cb11543b97 (このIDを非表示/違反報告)
きおく(プロフ) - やっぱりハッピーエンドですよね…!!分かりました!!夢主ちゃんも中也も幸せにします!!コメントありがとうございました!!! (2019年9月26日 17時) (レス) id: 8fb2214b40 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - ハッピーエンドにしてあげて下さい!!  (2019年9月26日 17時) (レス) id: 2eff2af79a (このIDを非表示/違反報告)
きおく(プロフ) - なるほど…!!ありがとうございますー!!! (2019年9月24日 18時) (レス) id: 8fb2214b40 (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 私はハッピーエンドがやっぱりいいです! (2019年9月24日 12時) (レス) id: 11efb22fa1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きおく | 作成日時:2019年7月22日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。