第8話-新たな夢 ページ10
＊＊
「え！？」
「はあ！？」
「「将来警察官になるーッ！？」」」
中学三年の夏、俺は二人に進路について聞かれた際に『将来警察官になりたい』という事を伝えた。
「──俺は断固反対だッ！！」
陣平は机を拳で叩き、全力で猛反対してきた。
「陣平･･････」
陣平は、親父さんの事があってから警察を心底毛嫌いしている事は承知していた。
「前は、センコーになりてえって言ってたじゃねえかっ！！」
「言ってたよ･･････、前はそうだった」
正確にいうと、つい最近までは迷っていた。
「──何でだよ･･････、何でよりにもよって警察なんだよ･･････ッ」
「俺も教えて欲しいな、理由･･････聞いてもいい？」
俺は以前巻き込まれた、スーパー立て篭もり事件の時から、警察官に憧れていた事を話した。
今まで話さなかったのは、陣平の親父さんの事もあるが、確実に二人は反対してくると思っていたからだ。
「正直、俺も陣平ちゃんの意見に賛成だな」
「け、研ちゃんまで･･････」
陣平と研ちゃんは、千速と同様に何事も動じない肝が据わった人間だが、俺に何故かやたら過保護なところがあるのだ。
「そんなに嫌なのか･･････」
「んなモン、ッたりめーだろうが！」
「そうだねえ〜」
案の定、二人に反対されてしまったが、ここで諦められる程度の覚悟で二人に伝えた訳ではなかった。
「──千速は、どう思う？」
千速にも同じ事を聞いてみたのだが、あっさりと答えた。
「別に良いんじゃないか？」
「あっさりしてるなぁ」
「──なんだ、反対して欲しかったのか？」
「いや、そういう訳ないけど」
「なら良いんじゃないか？──それに、陣平みたいに頑固な君の事だ･･････並大抵の事じゃ、一度覚悟を決めた事は曲げないだろうしな」
千速は満面の笑顔で笑った。
「──千速には、頭が上がらないな･･････」
流石、俺の初恋の相手･･････あの陣平が惚れ込む女の子だ。
「反対しているのは、陣平と研二だろう？応援してもらいたいなら、二人が折れるまでカマしてやれば良いさ」
彼女は、俺が知っている誰よりも肝が据わっている。
「それもそうだな」
拳を握る彼女の姿は、今も変わらず逞しくて美しかった。
＊＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「名探偵コナン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫饅頭。 | 作成日時：2023年5月23日 3時
