第7話-お見舞い ページ9
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事件収束から約1時間後、病院へ駆け込んできた事情を伝えられた両親の腕の中にいた。
両親は痛いくらい俺を抱きしめて、何度も謝っていた。
「謝らないで・・・・・・。おつかい先で、たまたま事件に巻き込まれただけ、母さん達のせいじゃないよ」
「A・・・・・・」
「怖かったけど、俺はこうして無事に生きてるし・・・・・・。──むしろ、前より肝が据わってきたくらいだよ」
そう言って俺が微笑むと、涙で目元が真っ赤腫れた両親はやっと俺を離してくれた。
それから数十分後、落ち着いてきた両親は俺にほしいものはあるか聞いてきた。
「──・・・・・・、お腹空いた」
両親の顔は相変わらず晴れていなかったが、俺はこれ以上心配を掛けたくなくて、いつも通りの調子で答えた。
「俺・・・・・・唐揚げが食べたいな」
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「見舞い来たぞー!」
翌日、幼馴染の千速、陣平、研ちゃんがお見舞いに来てくれた。
「約束の時間、遅れてごめん」
まず俺は皆んなの顔を見るなり、気にしていた事を謝罪した。
「「A・・・・・・」」
謝罪を聞くなり陣平と千速が二人して、眉間に皺を寄せた。
「はあ?会って最初の言葉がソレかよ」
「全くだ、私達の事よりも自分の心配をすべきだろう!」
「おうおう、もっと言ってやれ千速!」
陣平は椅子に座って、千速の言葉に頷いていた。
「大体Aはな、余計な心配し過ぎなんだよ!そんな事程度で俺達が怒るわけねーだろ」
「そうだぞ、A。確かに陣平は短気な方だと思うが、このくらいで怒るような小さい男じゃない」
「──おい、千速・・・・・・」
「いやまあ、そうだけど。個人的に気にしてたからさ・・・・・・ごめん」
「だーかーら、気にし過ぎだっつー・・・・・・!」
「まあまあ、二人とも落ち着いて。」
言葉が止まらない二人を見兼ねて、研ちゃんが宥めてくれた。
「皆んな、Aちゃんの事すげー心配してたんだ」
三人が顔を見合わせて、じっと俺の顔を見つめた。
「──もちろん、分かってるよ。・・・・・・心配してくれて、ありがとう」
正直にいうと、まだ昨日の事件が怖くて不安感に苛まれていたのだが、三人と会って話して・・・・・・それが少しだけ和らいだのを感じた。
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作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年5月23日 3時