タイムリミット3秒前。 (ページ6)

今日:103 hit、昨日:147 hit、合計:13,674 hit

第4話-不意打ちページ6

＊＊

　立てこもりが開始してから一時間以上が過ぎた頃、警察官は慌ただしく何処かと連絡を取っていた。

　俺は犯人の男に拘束されたまま、極度の緊張から意識が朦朧としていた。

「･･････あと、一時間もないぜぇ？遅えなあ、遅えよなあ･･････、木っ端微塵になるのももう少しだなァ･･････」

　男はニタニタと嫌な笑みを浮かべながら、独り言を呟いている。

「金と車を用意したっ･･････！！」

　目の前にいる警察官が声を上げた。すると入り口からアタッシュケースを持った警察官が入ってきた。

　外を見ると、来た時は明るかった空に雲がかかり、店内は少し薄暗さを帯びていた。

「そのケースの中身を見せろ！ちゃんと1,000万入っているのかが分かるようになァ･･････」

　犯人の男がそういうと、若手の警察官が数十メートル先で、お金の入ったアタッシュケースをこちらに向けた。

「ほらッ･･････、アンタが要求した1,000万だッ！！見た通り、車も表の入り口に付けてある！！だから･･････早く、人質を解放してくれ！！」

「確かに、1,000万はあるみたいだなァ･･････えらいなァ、警察官ってのはよォ･･････」

　犯人の男は、穏やかな言葉とは裏腹に顔を怒りで歪めていった。

「──だがな、俺はなァ･･････もっと、怒ってるんだ、そうだ、ムカツイてるんだ･･････、あの男になァ、絶対許せねえんだよなァ。･･････そうだ、あの男を代わりに差し出せよ、拘束して目隠しさせて俺に寄越せよ、そしたらこのガキを離してやるよ」

　犯人のその言葉に、この場の空気が凍り付いた。

「──人質交換、･･････か？」

「ああ、罪のないガキと傲慢なジジイのどっちの命が消えるのがいいか･･････選ばせてやる」

　すると、若手の警察官が声を上げた。

「それはできない！せめて、俺が代わりに･･････」

「警察官なんかッ代わりにするかよォォ！！俺を舐めてんのかァああ？？！あんまり舐めてるとこのガキ殺すぞッ！！」

　発狂している男は、俺の首を腕で締め上げていく。

──く･･････る、しい、し、ぬ･･････。

　呼吸ができずに目の前が暗闇に包まれ、意識が遠のいていこうとした･･････その時だった。

　店内の照明が全て消えると同時に、天井から冷たい水が降ってきたのだった。

＊＊