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第36話-嗜好 ページ38

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 高校卒業後、俺は警察学校へ、千速は大学に進学した。


 そして、警察学校での研修期間を終えた俺は、晴れて警察官として働くことになった。



 多忙な生活の中でも、陣平と研二ちゃんと連絡を取り合っていた。


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 萩〈明日、Aちゃん予定空いてる?〉


 ⚪︎〈午前中は予定があるけど、午後からなら空いてる〉


 萩〈オッケー!14時、陣平ちゃん家に集合よろしく〉


 松〈なんで俺ん家なんだよ。萩んとこでいいだろ〉


 萩〈明日は無理だよ。姉ちゃんが大学の友達呼んで遊ぶ予定なんだってさ〉


 ⚪︎〈それなら、俺の家で良いんじゃないか?借りてるアパートは狭いけど〉


 萩〈ハイじゃあ決定で!Aちゃんはそう言ってくれると思ってた〉


 松〈最初からそのつもりだったのか〉

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 午前の用事を済ませた俺は、コンビニで飲み物と軽食を購入してから家に向かった。



「Aちゃん、おかえりなさ〜い」

「おつかれ」


 家に着くと、二人はすでに到着して待っていた。


「ただいま、おつかれ。さっきコンビニ寄って、適当に飲み物と摘めるの買って来た」


「さっすが〜、あっコレ新作のお菓子じゃん。クラスの女子が美味しいって話してたやつ」


 研ちゃんが袋から取り出したのは、いちご味のチョコレートだった。


「へえ、そうなのか。目に付いたもの適当に買ってきたんだが、正解だったな」


「うん、ジャストタイミング。嬉しいなあ、俺とAちゃんって通じ合っちゃった感じ?」


 研二ちゃんは、両手で俺の手を握り込んだ。


「そうかもしれないな。二人の好みは熟知しているつもりだ」


 食の好みは勿論、趣味や好みの女性のタイプも大体分かっている。


「うーん、それにしては自覚していないけどなぁ」


「同感、自惚れ過ぎだろ」


「違うよ、陣平ちゃん。どちらかというと、自惚れてなさ過ぎじゃない?」


「あ?・・・・・・どっちも変わんねーよ。それとも何か、コイツが俺の好きな奴でも分かるってのか?」


 陣平な好きな女性のタイプなんて、昔からよく知っている。


「千速だ」


「・・・・・・」



 数分間ほど沈黙が続き、俺はもう一度言い直した。


「千速みたいに、凛々しくて強い女性が好きなんじゃなかったか?」


 陣平は昔から、千速に惚れていると思っていた。


「ノーコメントだ」


 陣平の表情や返答から察するに、見当違いという訳ではないようだった。




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作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年5月23日 3時

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