検索窓
今日:71 hit、昨日:147 hit、合計:13,642 hit

第33話-朧夢 ▼ ページ35

**




「──っ、・・・・・・ッ!」



──誰だ・・・・・・?


 誰かが何かを言っていた。


「・・・・・・」



「A、おいっ!・・・・・・馬鹿ッ!!オイッ!」




 必死なその声の主を見上げた。


「──陣平・・・・・・、聞こえてるよ」


「ッ!!」


 俺の反応が返ってきた事に、安堵の表情を浮かべた陣平だったが、次の瞬間には鋭い表情に変わっていた。



「ボケーッとしてんじゃねえ!つか、お前階段から落ちたらどうすんだよ」


「ああ、悪い」


 陣平の腕に支えられる形で、学校の階段にいた。



「具合でも悪いのか?」


 どうやら、俺は部活室の鍵を職員室へ返しに行った帰り、階段の途中で意識が飛んでしまっていたようだった。


「助けてくれてありがとう、陣平。体調はどこも問題ない。少し考え事してたみたいだ」


 俺はもたれ掛かっていた陣平の腕から、ゆっくりと身体を起こした。


「してたみたいって、何だソレ。階段踏み外すくらいの悩みか?」


 俺の返答に、陣平は眉を顰めた。


「考え事っていうか、夢?のようなものを見てた気がする・・・・・・多分」


「はあ?マジで寝てやがったのかよ」


 陣平は呆れた表情で、俺の様子を伺っていた。


「あのさ、陣平」


「何だよ」
 

「腕、もう放して大丈夫だぞ?」


 陣平の手が、俺の右腕をしっかりと掴んだままだ。


「断る」


 陣平はそう言うと、俺の腕を軽く引いて階段を降り時始めた。


「こんなところで、また眠られたら困るからな」


「ええ?もう寝ないって、流石に」


「いつものお前は信用してるが、今のお前は信用しねえ」


 結局俺は、陣平に腕を引かれたまま昇降口まで連れて行かれた。


 そこには、陣平の事を待っていた研ちゃんが立っていた。


「おお〜、陣平ちゃん遅か・・・・・・って、なにかあった?」


 俺たちの姿を確認すると、怪訝そうな顔で首を傾げていた。


「ああ、研ちゃん。待たせてごめんな。陣平がずっと手放してくれなくてさ」


「おい、誤解を招く言い方やめろ」


「へえ・・・・・・陣平ちゃんってば大胆〜っ」


 研ちゃんが陣平を肘で突きながら、俺の顔を覗き込んだ。


「──それで、そうなったキッカケ教えてよ」


「別に大したことじゃ・・・・・・」


 そう言いかけた俺の言葉を陣平が遮った。


「コイツが階段から落ちかけた」


 そして俺は、二人に両腕を拘束された状態で家まで連行されることとなった。


**

第34話-帰路→←第32話-曇った夜空



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
98人がお気に入り
設定タグ:コナン , 男主 , 松田陣平
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年5月23日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。