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第32話-曇った夜空 ページ34

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 佐藤刑事と話をした後、夜勤に出れなくなった同僚に代わって、いつものように街中パトロールをしていた。


 酔っ払いの喧嘩を始め、ひったくり犯の確保、未成年者の補導、不審者の身元確認、その他諸々の事務作業をしていると、あっという間に朝日が昇ろうとしていた。


「すみません、梅川さん。僕の代わりに入って頂いて」


「気にしないでくれ。特別予定もなかったし、問題ない」


「今から僕が入るので、先に上がってください。ずっと連勤続きですよね、梅川さん」


「お言葉に甘えるよ、ありがとう」


 俺は同僚に仕事の引き継ぎをすると、控え室で私服に着替えて退勤した。













──少し肌寒いな・・・・・・。


 先程まで覗かせていた太陽が、雲に隠れてしまっていた。


「・・・・・・」


 街頭の明かりが付いている薄暗い道を、俺は歩いていた。


──帰ったら、洗濯物しないと・・・・・・。


 俺は重たくなってきた瞼を擦った。


──やばい、眠たい。


 仕事の緊張感から解放されて、一気に眠気が襲って来た。


「・・・・・・」



 目を擦って、擦って、それでも瞼は重くなった。









 すると、次の瞬間・・・・・・視界が不思議な白い靄に包まれていくような、そんな危険な感覚に支配されてしまいそうになった。



「──あ」


 




 いや、もう・・・・・・すでに、その時には遅かったのかもしれない。




 それは・・・・・・身体が軽くなった、──正確には重力から解放された、宙に投げ出された時のような感覚だった。



















「・・・・・・」




──どうして、空が見えるんだろう。


 俺はさっきまで道を歩いていたはずなのに。


──あれ、俺・・・・・・階段降りたんだっけ。


 いつも通勤に使っている、公園の長い階段が、視界の端にボヤけて映っていた。



──だめだ、眠くて・・・・・・考えられ、ない。





 こんな場所で、眠るなんて子どもの頃以来だろうか。



「── 、・・・・・・」




──あの時は、研ちゃんと・・・・・・陣平も一緒で。









「──、・・・・・・っ!!」





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作者名:猫饅頭。 | 作成日時:2023年5月23日 3時

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